2013年6月30日
本日の一句
終章を飾るのうぜんかづらかな
しゆうしやうをかざるのうぜんかづらかな
るびい
夏井いつき選
「今月の音」を踏まえつつも、最終回への思いが作品の根底に流れている句が見つかればいいなあと思っていた今月。るびいさんのこの句がストンと心に入ってきました。タイプライターかな?と思った「今月の音」から、小説を書いている場面を思い浮かべての「終章を飾る」という前半の措辞。私の原稿もいよいよ終章となりました。
本日の入選作
■季語「のうぜんかづら」は遠目には美しい花ですが、近づいていくと、なかなか一筋縄ではいかない?妖しさも感じられ、私は「のうぜんに火薬をつめてやりました/夏井いつき」なんてヘンな句も作ったこともあります(笑)。「終章」はどんでん返しの鮮やかな結末が書かれているのかもしれない…と、そんなことも想像させられる一句でありました。
■実は、同じ作者のこの句を「満開」に推そうかと迷いました。「改行をするたび虹の濃くなりぬ/るびい」←未来って、こんなふうに「改行」をしながら拓けていくものなんだろうな、と共感。好きな句でした。【尾行されてをらぬか虹の壊れぬか/夏井いつき 深くてハッとさせられました!そこで私も虹で一句詠んでみました^^ 先生と音俳句との出会いがなければ俳句はずっと敬遠していたはずです。先生からものすごいパワーをいただき、お蔭さまで俳句が大好きになりました。】【音俳句への最後の一句は華やかに^^丸3年参加させていただきました。今月で終わってしまうのですね、寂しいです。ですが、学校での句会ライブとして続いていくとのお話にちょっとほっとしました^^ 音俳句、最高に楽しかったです。本当にありがとうございました♪/るびい】
■パイオニアの皆さんと作り上げてきた『音俳句』を学校現場へ広げていくことが、私たちの次の活動。ゆっくりと、たっぷりと「俳句の種蒔き運動」を続けていくのが、私たちの「100年俳句計画」。ここからが本当の意味での始まりかもしれません。
■が、…とはいえ、『音俳句』の募集が終わるのは率直に淋しいことです。終わらせたくなくて、こうやってダラダラ原稿書いてるのかもしれません(苦笑)。うん…音G、ありがとね!脳を刺激してくれる音の数々は、俳句作家として創作の泉でした。そして、影で支えてくれた青山さん、ありがとう。『音俳句』は不滅ですとも! ■ホンダがF1に復帰したように、いつかパイオニア『音俳句』のサイトが復活する日がくるかもしれません。そんな日がもし来るならば、ワタクシのブログ『夏井いつきの100年俳句日記』でいち早くお知らせしますとも~♪(笑) その「いつか」のために、皆さん、油断せず言葉を磨いてまいりましょうね!またお会いしましょうね、ご健吟お祈りしておりますよ。(了)
音G賞
汗残す空のモヒート淀む筆
あせのこすからのもひーとよどむふで
横山欣幸
サウンドデザイナー 岡田晴夫コメント
「今月の音」は、キューバ・ハバナでの初日、プレスパスを発行してもらったお役所での音風景です。半世紀近く前のアメ車が普通に走っているお国柄ですから、タイプライターももちろん現役です。 常々、音俳句は音当てゲームではありませんと云って来ましたが、今月の音G賞は微妙にハバナの空気感を感じ取って詠んでいただいた横山欣幸さんの一句に。 「ここはハバナのカフェバー。書斎を出て、タイプライターを持ち込むも、筆は進まず。グラスにも額にも、汗の跡。ヘミングウェイ先生、大スランプです。」とのコメント。 ハバナではヘミングウェイにまつわるゆかりの場所、飲物、お店などたくさんありますが、今は博物館になっている邸宅の書斎にあったタイプライターはとても印象的でした。 さて、5年間続いてきた音俳句もこの回をもって一旦終了です。長い間サイトに来ていただいた皆様、投句いただいた皆様ほんとうにありがとうございました。手さぐりで始めた音俳句がここまで続けて来れたのは、応援いただいた皆様と、毎月の選句をお引き受けいただいた夏井先生のおかげです。この場をかりて御礼申し上げます。 音俳句は録音した音に限らず、吟行のように生の音を共有することでもできます。これからも音俳句を通して俳句の楽しさが広がることを願いつつ筆をおきます。