Stellanova
(PC・スマホ用周辺機器)

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1. 高音質PCオーディオの世界をiPhone/iPadと結ぶ

USBオーディオとワイヤレスへのこだわり

ハイレゾ音源をiPhone/iPadからも再生できる新しいシステムとして、Stellanovaを製品化するにあたり、2つのこだわりを持って開発をスタートしました。1つは、ワイヤレスで音楽データを伝送することです。いくらハイレゾ音源だからといってもケーブルでは、iPhone/iPadの機能性が損なわれてしまいます。ハイレゾだけど、ワイヤレスで簡単につながり簡単に音が楽しめる。そこにこだわりました。もう1つは、USBオーディオ方式を採用することです。USBオーディオ方式は、PCオーディオにおいて、高音質が追究されており、各社それぞれ個性のあるUSB-DACを作り込んでいるカテゴリーで、192kや384kのハイレゾやDSDまで伝送可能な方式です。これら2つを組み合わせた「USBオーディオ方式のハイレゾワイヤレス伝送」の実現からまずはスタートしました。

Air Hi-Res Link Technology 誕生

もともと、私たちの職場はPC周辺機器を開発する部門なのですが、パイオニアの強みで、オーディオ好きのメンバーも多く、また、ホームAV出身者もいた為、すぐに検討に取りかかりました。2013年にワイヤレスのBDドライブを開発した時の「高速USB仮想化技術」と2014年に商品化した「USBスピーカーの高音質技術」を活用すればと考えました。BDをワイヤレスで再生するには転送速度が40Mbps以上必要ですが、ハイレゾは192k/24bitなら10Mbps程度でよく、すぐに実現できるのではないかと。しかし実際は、高いハードルがありました。
1つめのハードルは、USBオーディオで採用されているのはアイソクロナス転送であり、BDドライブはバルク転送であるという違いです。アイソクロナス転送方式は、再送して正しいデータを送ることより、音楽データをストリーミングで再生する為に、一定時間内に一定量のデータを送ることを重要視しているため、データが正しく送れたかのフィードバックがありません。そのため外来電波ノイズの影響を受けやすくなります。これに対しては、オーディオ用のロングメモリーをワイヤレスユニット内に内蔵する事で対応しました。ワイヤレス伝送自体(TCP/IP)はエラーの再送がありますので、USB-DAC側へメモリーを通して安定してデータを供給できれば、正しいデータへリカバリーをすることが可能です。

Wireless Unit回路系 設計担当 栗田

Wireless Unit回路系 設計担当 栗田

2つめのハードルは、ハイレゾUSB-DACは、アシンクロナス転送モードを使用するということです。これは非同期方式のことで、再生機であるUSB-DAC側のクロックを基準にデータをやり取りします。USB-DAC側のFIFOバッファをモニターしてアンダーフローやオーバーフローしないようにデータを適度に送り込む必要があります。ワイヤレスでは遅延があるため、このms単位の制御が非常に困難でした。これに対しては、ワイヤレスユニットにUSBオーディオのホスト機能の一部を仮想的に取り込む事で実現しました。ホームページのテクノロジーにも図付きで掲載していますが、この2つの技術を「Air Hi-Res Link Technology」と名付けました。

ワイヤレスユニットAPS-WF02設計着手

基本的な技術が出来あがったので、製品開発に着手しました。いきなりデザインでびっくりしました。デザインはオリジナリティがあり、気に入ったのですが、筺体6面のうち5面がアルミ筺体というワイヤレス機器には、非常に不利な形状でした。アルミで囲まれては電波が飛びません。かといってデザイン的に外部アンテナはあり得ません。そこでWLANモジュールを底部にミリ単位で配置を検討し、周辺金属ともギリギリまで距離を確保、デザインを損ねない範囲で高さを調整、最終的には内蔵アンテナで製品を実現することができました。
仕様面でもいくつかアイデアを盛り込みました。ワイヤレスユニットは、USBオーディオをワイヤレスにする機能はもちろんですが、各種USB機器がつなげますので、USBホスト端子は4つ搭載しました。USBメモリーやHDDを接続すれば、iPhoneやiPadの限りあるメモリ容量を気にせずハイレゾファイルを扱えます。光ディスクドライブをつなげばCDプレーヤーにもなります。また、PCを起動せずに直接リッピングすることもできます。これらの機能は、PC周辺機器を開発している部門ならではで、携帯端末のみで操作ができるようにこだわりました。iPhone/iPadへの高速充電に対応したり、アプリ起動に同期してUSB-DACアンプの電源を自動でON/OFFするようにもしました。機能が多すぎるかもしれませんが、自分にあった使い方で、ハイレゾを楽しんでいただきたいです。

2.単品コンポーネントの作りこみ

Stellanova のUSB DAC AMPを設計するにあたり念頭においたこと、それは「単品コンポーネントとして十分に通用すること」でした。

Stellanova としては、ワイヤレス化や独特のデザインと言った特徴があり、ともすると音質は二の次の製品だろうと思う方もいるのではないかと思います。でも、そんなことはありません。音質面ではソースの実力を引き出すのに十分な単品コンポーネント同様のクオリティーを持たせてあります。

アナログ回路でのこだわり

アナログ回路で原信号を劣化させないため、DAC以降のI/V変換後、スピーカーアンプ回路・ヘッドフォンアンプ回路まで完全に差動回路を採用し、ノイズに強い構成としました。音量調整のボリューム(実際にはアッテネータですね)も差動回路のままです。そして、AUX入力は一度A/D変換してデジタルのセレクタを通すことにし、ノイズの進入口となりうる余計なアナログMIXは一切していません。これにより、D/Aからパワー段までストレートに信号を伝送することができたのです。受動部品、特に音質に大きく影響のあるコンデンサには気を遣っています。パイオニアがルビコン社と共に開発した薄膜高分子積層コンデンサー「PML MUコンデンサー」を採用し、クリアで抜けの良い高音質を実現しました。このクラスの製品でこのようなコンデンサを採用するのは異例ではないでしょうか。電解コンデンサも厳しいサイズ制限の中、容量と品種を吟味、最適化しています。アナログ段の電源回路はスイッチングを避けるため敢えて単電源構成とし、その際必要となるリファレンス電源も左右独立構成を採りました。これでチャンネルセパレーションをしっかり確保するとともに、音のくすみを防いでいます。さらに、I/V部には別途高速応答のリファレンス電源回路を設け、音源の持つスピード感を損なわないようにしています。

USB DAC AMP回路系 設計担当 中川

USB DAC AMP回路系 設計担当 中川