講習会&演奏会

  音鑑主催のイベント 夏のセミナー

第28回音鑑「夏のセミナー」は盛会裏に終了しました。

7月30日から8月1日まで、東京・二子玉川のパイオニア研修センターで、今年も恒例の音鑑「夏のセミナー」が実施されました。
 今回は、昨年度まで主管を務めていただいた吉田時雄先生の退任に伴い、新たにお迎えした渡邊學而先生のもとで、全国各地からご応募いただいた22名の受講生(うち欠席2名)が4班に分かれて研修されました。渡邊先生は、従来音鑑の提唱してきた「鑑賞指導の基本的な考え方」の基礎をつくった方です。また他に、今回初めての試みとして、この夏ゼミを卒業し、すでに地元で同様に鑑賞指導の宿泊研修を実施・継続されている先生方を4名お招きし、第5班として別枠で研修していただきました。
 各グループの研修の結果は月刊『ONKAN 音楽鑑賞教育』誌に順次掲載される予定ですので、ぜひご覧ください。

研修テーマ「音楽を愛好する心情を育てる鑑賞の指導」
助言者の事前研修
財団研究事業主管、渡邊學而先生の指導のもと、「指導普及部会」の研究委員のうちの7名の助言者によって、4月から定例の会合をもち、セミナー本番に向けての教材選択と教材研究、「実際例の提示」のための予行演習などを繰り返しました。

研修の主旨と内容
各グループの助言者によって準備された「教材」に基づいて「指導のねらい」を抽出し、それをもっとも望ましい形で実現するための指導の流れを組み立てるプロセスを通して、鑑賞の授業に役立つ様々な方法を具体的に学び、身につけること。



講 師

小原光一(夏のセミナー実行委員長、財団常務理事)
渡邊學而(夏のセミナー主管、音楽評論家、財団研究事業主管・評議員)
助言者   財団研究委員の中から小学校部4名、中学校部3名、オブザーバー2名
受講者   小学校教諭17名、中学校教諭7名 計24名(5グループ)
内 容(敬称略)
1.   開講式 講話 小原光一
「夏のセミナー」の主旨と目的を説明。
2-1.   講義「音楽を愛好する心情を育てる鑑賞の指導」
――音楽鑑賞指導の基本的な考え方――  渡邊學而


今回の研修テーマの主旨を説明。子どもの「音楽を愛好する心情を育てる」ためには、まず子どもが毎時間の音楽の授業をおもしろいと思い、次の授業を期待して待つようにならないといけない、したがって「子どもと鑑賞教材=楽曲との出会いをいかに新鮮で興味深いものにするか」が第一の問題になる。この一点にマトを絞って、教材=楽曲の与え方、発問の内容と仕方など、具体的なポイントについて徹底的に授業づくりの研究を行なう。
渡邊學而先生 小原光一先生 実際例の提示(小学校)
渡邊學而先生 小原光一先生 実際例の提示(小学校)

2-2.   実際例の提示  財団研究委員
上記の講義の主旨にそって、具体的な展開例を小,中学校順に模擬授業の形で提示。
3.   グループ研究
受講生が小学校3グループ、中学校1グループに分かれ、各班の助言者によって予め用意された教材=楽曲(演奏も含めて)をもとに、ねらいの抽出から授業の流れまでの組み立てを研修。従来は、助言者の用意した「題材の指導計画」に基づいて、教材の選択と教材研究、指導の流れの組み立て、学習指導案の作成と模擬授業による検証(の繰り返し)、というプロセスでしたが、今回はこの中の「指導の流れの組み立て」の研究に集中できるよう、事前に教材の選択までを助言者が済ませておきました。また毎回、限られた時間の中で正式の指導案を書き上げる受講生の負担の大きさが問題になっていましたので、これも略式とし、できるだけ多くの時間を授業研究そのものに生かせるようにしました。その分、教材のねらいを十分に達成するための「関連教材の選択と用い方」にはこれまで以上に配慮が要求されました。
  各班の教材は次の通りです。
 ・A班(小学校低学年)
   『トリッチ・トラッチ・ポルカ』 ヨハン・シュトラウス?世作曲
 ・B班(小学校中学年)
   『美しきロスマリン』 クライスラー作曲
 ・C班(小学校高学年)
   『スラブ舞曲第8番』 ドヴォルザーク作曲
 ・D班(中学校上学年)
   『ハンガリー狂詩曲第6番』(ピアノ原曲版) リスト作曲
  第5班の先生方は、この音鑑・夏ゼミの後にご自分の夏期研修会の実施を控えておられる方々なので、音鑑の指導普及部会で助言者の先生方が4月以降取り組んでこられた内容を、渡邊先生の2日間の「集中講義」で学んでいただきました。

研究発表

グループ研究
4.   研究発表
模擬授業+研究経過報告40分、研究協議10分、講評 (オブザーバー助言者) 10分という形で、各グループが3日間の研究の成果を順に発表。模擬授業の時は他の班が生徒役を務めます。今回特に(助言者の事前研修の時から一貫して)留意された点のひとつは、生徒の発言の内容を(板書するしないにかかわらず)その都度必ず音で確認してから先へ進むということ。これは、そうしてていねいに幾度も「音に帰る」ことによって、子どもが自然にその曲に親しみ、次第にその曲が子どもの心の中に入っていく、その機会を増やすことが大事なので、それが「音楽を愛好する心情を育てる」一歩にもなる、という趣旨によるものです。各グループともこの点は怠りなく、いずれの模擬授業でも音楽の鳴っている時間が従来よりもずっと長かったことは確かで、「教師の次の発問までに生徒が聴いた音楽を忘れてしまう」といった懸念はほとんどなかったようでした。
 第5班は、4つの研究発表についてのミニ・レポートを渡邊先生に提出することになりました。
 研究発表のこれ以上の詳細については、『おんかん』誌10月号以降に掲載予定の「夏ゼミ04レポート」をご覧ください。
5.   総評 渡邊學而
第1〜4班の研究発表と、オブザーバー助言者の講評を受けて、渡邊先生が主管の立場から今回の研修成果を総括。各発表の折に出された意見や質問などについてもまとめて解答されました。音楽教育は形式的な次元に安んじることなく、内容の充実をこそ求め続けてほしいという現場の先生方への熱のこもったメッセージが大変印象的でした。
6.   グループ別研究討議
上記の「総評」も参考にしながら、各グループが3日間の研修を振り返り、自らの成果と課題を最終的に確認する時間。今回は残り時間が少なくなり、グループ別討議に続く「校種別討議」ができなかったのが残念でした。
7.   閉講式
参加者全員に「修了証」が渡され、小原先生の閉会の挨拶があって、全日程を終了しました。
参加者の声
これまで音鑑「夏のセミナー」に参加された受講者は約600名にのぼり、現在全国各地において、音楽科教育を推進するリーダー的な存在として活躍されています。
 研修の日程はハードですが、研修内容は極めて充実しています。まだ参加されたことのない方はぜひ一度ご参加ください。また、過去に参加したことのある方でも再度応募できます。
 音鑑「夏のセミナー」の参加者募集要項は毎年、音鑑のホームページに5月以降、また月刊『おんかん 音楽鑑賞教育』5、6月号、「論文作文募集」DMなどに掲載しています。