本サイトはスタイルシートを使用しております。
お客様がご使用のブラウザはスタイルシート非対応のため、表示結果が異なっておりますが、情報は問題なくご利用いただけます。

ショッピング

ホームページアンケート

ホーム>会社情報>研究開発>技術解説>DVD技術解説>第2章再生専用ディスクの物理フォーマット:2.1 物理規格の設計コンセプト

研究開発

DVD技術解説

第2章 再生専用ディスクの物理フォーマット -
2.1 物理規格の設計コンセプト

2-1-1 DVD設計ターゲット

DVDの基本設計は映画をコンテンツとするところに始まっている。したがって、再正時間は、ほとんどの映画を1枚のディスクに収容できる133分が基本にある。
一方、レーザーディスク(LD)の後継商品となるDVDの画像がLDより悪いものを設計する訳にはいかず、画質評価を重ねた結果、可変レートの画像圧縮を前提に、映像は平均レートで3.5Mbpsが不可欠という結論になった。 さらに、音質、国際性、マルチメディア性を考えドルビーAC3を3言語(384Kbpsx3)と字幕を4言語(10Kbps*4)を設定しにし、容量が4.7GBとなるよう規格が設計されている。

DVD規格がCD規格と比べ異なるのは、単に再生波長が近赤外レーザーから赤色レーザーに変わった違いだけではなく、このようなニーズを満たすために、CDが世の中に出た1982年から十数年のあいだに進化している技術を前提にして、4.7GBが達成できるように設計されているところにある。たとえば、ディスクの偏芯量やそりといった項目は、かなりの部分がCDの規格よりも厳しくなっている。1つには、ディスクの製造技術が進歩しているということと、記録密度をレーザの波長比以上に上げておりトータルのシステムマージンが狭くなるのを前提にしていることにもよる。
たとえば、CDのトラックピッチは標準1.6μmであり、波長比の(650/780)をかけると1.33μmとなる。DVDのトラックピッチは標準0.74μmでありトラック方向にかなりつめていることがわかる。トラックピッチをつめるとクロストークが増加しラジアル方向のチルトマージンが厳しくなる。容量を満足するようにディスク全面にわたっての平均トラックピッチの偏差を±0.01μmと厳しくし、さらに最大変位も±0.03μmとクロストークをおさえるため、厳しくなっている。
当然、この規格を満たすためには、原盤記録機の送り精度を十分にしたり、再生機のメカやピックアップのバラツキも、CDの再生機よりは厳しくおさえることを前提にしている

DVD BookのPart Iと呼ばれる規格書には、それらのシステム設計満足するために要求される、ROM型ディスクの物理的な諸特性、すなわちディスクの機械的特性、光学的特性、再生時の信号特性 さらにはハードウェア設計に必要な変調方式やエラー訂正といったものが記述されている。また、DVDでは2層ディスクや小径ディスク(φ8cm)も設定されておりそれらに関する規格も含まれている。

【注意】
この記事は、
DVD Specifications for Read-Only Disc :
Part 1 PHYSICAL SPECIFICATIONS Ver1.02
にもとづいていますが、実際の製品設計等には最新の規格書を参照してください。当社は、この記事の使用によるいかなる損害に対する保証義務を有しませんのでご了承ください。

2-1-2 UV−LBRと0.6mm基板採用

4.7GBのDVDとCDに違いは簡単にいうと、その記録密度の違いである。写真はCDとDVDに記録されたのピットと呼ばれるものの電子顕微鏡写真である。

DVDのピットがいかに小さいかがわかる。問題なのはこの小さなピットをどう記録してどう再生するかにある。 CDやLDのディスクのカッティングはLBRと呼ばれる原盤記録機でおこなわれるが、その光源には波長が457nmのアルゴンレーザーや442nm のヘリウム-カドミウムレーザーが使われていた。DVDにおいては、記録密度を向上するために、波長が近紫外の351nmのアルゴンレーザーやクリプトンレーザーを使ったLBRが開発された。
一方、再生時にはCDに比べ小さく集光した光で再生することになる。 再生ビームサイズは、NA/λに比例するためにDVDではNAを大きく、波長を小さくして再生ビームを小さくした。
ところが、ここで問題となるのは、再生時にディスクが傾いたときである。ディスクが傾くとコマ収差という光学的劣化が生じ、光のスポットが歪んで、うまく再生できなくなるのである。このコマ収差の量は、簡単いいうとd×NA3/λに比例する。dはディスクの基板厚みである。DVDではこの傾きによる劣化を半分に押さえるためにCDでは1.2mmあった基板の厚みを半分の0.6mmにしてある。 図はコマ収差の量をしめしたものである。

2-1-3 0.6mm基板の課題

0.6mm基板にすると強度が足らないため、2枚を貼り合わせて1.2mmの基板とする必要がある。その結果CDのように1.2mm単板の製造工程にくらべ、ディスクの貼り合わせ工程が追加される。その分はコストアップ要因となるが、基板厚が薄くインジェクションでの冷却時間が短くなるので、ディスクの材料を投入してからディスクとして出てくるまでのサイクルタイムを短くすることができる。ディスクのコストは製造装置の償却費のしめる割合が大きいため、貼り合わせ工程が入ってもトータルのサイクルタイムを短くすることにより、高密度の1.2mm基板を作るのと同等のコストでDVDを作ることができる。
さらに、DVDでは、2層ディスクが規格されているが、この2層ディスクは貼りあわせ工程と非常に相性がよく、あまりある付加価値をうみだしている。

次に問題になるのが、CDとのコンパチ性である。CDは1.2mmの基板であり、DVDは0.6mmの基板であり、厚みの差による球面収差をピックアップでカバーしなければならない。これは、すでに発表されている2焦点ピックアップやレンズ切替のピックアップや液晶による開口切り替え型ピックアプで対処することができる。

最後に、0.6mm基板で不利なのが、ディスク表面のゴミやキズである。ディスク表面でのビーム径は1.2mmの基板に比して半分であるので、ゴミやキズに対しての強さは1/2となる。これに対しては、強力なエラー訂正で対応している。CDのバースト訂正長が2.29mmに対してDVDは6.0mmであり倍以上にしているので問題ない。キズに関しては、CDの情報面は保護膜と印刷面でカバーされているだけなので、情報面側のキズには弱い。一方DVDは貼り合わせ構造であり、情報面は基板で保護されているために、上記欠点は無く、強化されている。

2-1-4 マージン設計

設計ターゲットは、経済性を考慮された規格内のワーストディスクを、経済性が保てる範囲で量産されたピックアップのうちワーストなもので再生したときにエラー訂正後に、パソコンユースとして許容できるバイトエラー率1×10−20を達成することにある。
エラー訂正後であるから、当然エラー訂正能力の設計も重要になる。DVDのエラー訂正能力は冗長度とのトレードオフもかんがみ32KByte/ECCブロックの大きさに設定されている。この場合要求される訂正前バイトエラー率は1×10−2である。
この、ディスクの経済性と再生機の経済性を両立するべく双方の立場で、あまたの実験がなされ、双方努力の結果現在の、チルト規格ができている。
後述するが、エラー率をディスクの規格にするのは難しい。そのためDVDではジッタ−規格が設定されている。正規分布の単純計算でこのエラー率を確保するためにはジッタとして15.4%、実験的には、16%以下であることとなっている。ディスクチルトは周内変動があるので、その瞬時ピーク値ではジッタ16%まで許容するという設計コンセプトに至った。 現実的には瞬時値の測定は難しいため、測定では平均ジッタ15%、バイトエラー5×10−3で測定するという考えにたっている。
システムマージンの基本的な考え方を図に示す。図は横軸にチルト縦軸にジッタを概念的に示したものであるが。
まず、多くの実験から得られた最良の結果を考える。この時のチルトのないときのジッター値であるボトムジッターには、光源ノイズ、回路ノイズ、ディスクノイズ、標準的な符号間干渉と若干の隣接トラックからのもれ込みなどが含まれている。

次に、ディスクのチルト以外の製造ばらつきによるボトムジッタの値を設定する。DVD規格では、実験結果から8%が妥当であるという結論に至っている。
さらに再生側の回路的な製造ばらつきを考える。ディスクや回路によるばらつきは、ノイズ的性格をもち、ジッターにとってはボトムは上昇するがチルトマージンの減少は小さいと考えられている。一方サーボ回路のオフセットなどはボトムだけではなくチルトマージンの減少をもたらす。マージン減少分は、実験と過去の量産経験から割り出している。残った部分が、ディスクチルトとピックアップチルト(その他収差等も含む)に振り分けられ、現在の規格になっている。

2-1-5 トラッキングエラー信号

CDのピット深さはλ/6近辺に設定し、λ/8の深さで最大となるプッシュプルのトラッキングエラーとλ/4で最大となる、3ビーム方式や位相差検出方式の両方ができるような規格となっているが、DVDにおいては、記録密度を上げることを優先させ、信号品質が最良となるλ/4のピット深さにすることを前提に規格が設計されている。λ/4の深さでは、プッシュプル信号は小さくて使用できないが、プッシュプル信号はレンズシフトやディスクチルトでオフセットを生ずる問題点をかかえているため、冗長という結論に至っている。
一方、位相差検出方式はトラックピッチの違いや、2層ディスク対応など考えられる互換性の条件をすべて満たすこと、また、将来の高密度化への整合性もよくDVDの標準方式となっている。位相差検出方式は、隣接トラックと層間の強い部分でオフセットがでる欠点があるが、信号にスクランブルを欠けることにより防いでいる。

2層ディスク

DVDでは、2層ディスクが設定されているがどちらの層を再生するのにもディスクを裏返す必要のないものである。その結果、それぞれの層からの信号を再生する場合、基板厚みが異なり球面収差が余計に発生する、再生層以外からの反射光(層間クロストーク)もある程度検出されるので検出S/Nは劣化する等の問題が生じる。
DVDの2層ディスクでは、線密度を約1割落として、マージンを広げる対策を行なっている。

2層間の厚みは、層間クロストークが標準的なピックアップにおいて十分小さくなるよう厚く、しかも球面収差が致命的にならないように薄くという観点から実験がなされ55±15μmとなった。なお、2層ディスクの基板厚み規格が薄いほうに緩くなっているのは、基板の薄い分コマ収差の発生が押さえられるためにマージンが元々広いことによる。