コラムパイオニア交響楽団

音楽にまつわるコラムを
不定期に掲載しています

第28回 2018年12月26日掲載

豪華四段重ね、お祝い重

クリスマスはいかがお過ごしでしたでしょうか?
PSOは年内最後の練習も終わり、あとは年明けに最後のリハーサルと6日の本番です。
今年もいろんなことがありました。良い事、悪い事、信じられないことがいっぱい。いまだに振り込め詐欺などの特殊詐欺被害も多いようです。犯人の詐欺師たちは、複雑な方法を編み出し、多額の金銭を騙し取る。ある種、すごい!役者です。その能力をもっと有意義に使えないものかしら?
そんな凶悪詐欺師ではありませんが、おまぬけ詐欺師たちのドタバタ劇の一つが、ヨハン・シュトラウス作曲、喜歌劇「こうもり」です。今回の演奏会では、この序曲で華やかな幕開けとなります。
わかりやすく、華やかで、でも、有名な素晴らしいアリアもたくさん聴ける喜歌劇なので、国内でも演奏されることが多く、おなじみの方も多いと思います。そんな盛りだくさんの喜歌劇の要素がてんこ盛りのこの序曲も演奏されることが多い一曲です。
「こうもり」序曲も後半の「ばらの騎士」もそうですが、侯爵や伯爵などの貴族階級の人々が登場する歌劇には、舞踏会の幕が多くあります。華やかなウィンナーワルツはその時代のウィーンの栄華と爛熟した文化の香りが漂います。二つのワルツの使われ方は違いますが、どちらもその物語の大事な鍵となります。
「こうもり」では、主要な役のほとんどが、この舞踏会で騙し合いを繰り広げます。身近な人達の騙し合いです。見ているこちらは、なんで、気づかないかな…、なんて、思いますが、そんな野暮は言っちゃダメです。奥方が仮面をつけて、「私はハンガリーの王女よ…」と自分の夫に向かって歌うところは、その旋律もそんな告白をそのまま音にしたようで、弾く方も、そんな情景を想像しながら、そう、旦那を欺く仕草や話し方はどうしたらいいのかしら?…なんて…。安心してください。実践はしていません。まだ。
そして、序曲や組曲はその要素を集約して、音楽の美味しいとこ取りの盛り合わせです。他2曲、エネスコ作曲「ルーマニア狂詩曲第1番」、ワーグナー作曲「ジークフリート牧歌」もそれぞれ違った味わいの魅力的な曲達です。まだ松の内、豪華四段重ねのパイオニア交響楽団の新年お祝い重を、ぜひ、楽しみに味わってください。

心を込めて演奏します。団員一同、お運びをお待ちします。

染谷雅子

第27回 2018年12月25日掲載

大人の別れ方

お久しぶりでございます。約一年ぶりのコラムとなります。
今年は4月にフィルハーモニッシャー・コール(パイオニア合唱団の後継)の演奏会にて、プッチーニのミサ曲やモテットを共演させていただきました。
いずれもプッチーニの若い頃の作品ですが、その、清々しく瑞々しい音達と、声の持つ力、伝える強さを感じた演奏会でした。

そして、今、私たちは来る年1月6日に第31回定期演奏会を控えて、残りの練習回数もわずかとなりました。
今回は年明けにふさわしく、豪華4曲仕立てでお送りします。
演奏会の最後を飾る曲はリヒャルト・シュトラウス作曲、歌劇「薔薇の騎士」組曲です。この歌劇は人の世界の可笑しさと悲しさが、きゅっと詰まった美しいお話です。人生のいろいろな情景、喜びや美しさ、愚かさや苦しみ、落胆や決意など、シュトラウスの華やかでいて繊細な音楽が饒舌に語ります。

みんな、欲しいものはたくさんある身の回り。あれもこれも、あの人もこの人も。そして、時の移ろいには美しくも残酷なものです。時が経つと、周りも変わってゆくし、人の心も変わるもの。さらに、歳をとるということは、得るものも多いが、失うことも多くなる。物も人も。でも、臈長けた大人の女はその瞬間に動じない、咀嚼して受け入れて、次に進むのです。
そんな女性になりたいものだわぁ、と、思いながら練習に励んでいます。
齢重ねた私にとっては、別れた人にも、次にどこかで会う時に、しっかり楽しく生きたことを伝えたい、そんな演奏会です。

新年の幕開けを華やかに彩ります。皆様もご一緒に寿ぎのひと時を。

染谷雅子

第26回 2017年12月26日掲載

初物尽くし

皆様、素敵なクリスマスをお過ごしでしたか?
私たちは、クリスマスイブ前日に年内の練習が終わり、あとは本番前日の最終練習を残すのみとなりました。そして、いよいよ本番です。
松が明けて8日の本番なんて、なんてめでたいのでしょう。
2018年の幕開けにふさわしい演奏会となりますよう、最後の練習頑張ります。

年の初めにバイオリンの練習をする時、「はい、お弾き初めね」なんて、毎年どうしても言ってしまいます。今回は、個人的なことで、初めてのこと尽くしです。

今回の演奏会に、シューマンのピアノ協奏曲をお送りします。私、アマチュアオーケストラにかかわるようになり、ずいぶん長い月日が経ちましたが、最初の演奏会での演目の一つがこのピアノ協奏曲でした。その時に思い出したことは、第1楽章冒頭、そう、「ウルトラセブン」最終回の、あの衝撃の告白を彩る、ピアノ曲ですね。そして、特に印象的だったのは、第3楽章の変拍子の心地よさでした。他パートみんなのそれぞれ違う譜面が、こういうふうに音楽として綴られてゆくことの新鮮な感動もあったことを思い出します。

もう一つの初めての物は、演奏会の始まりを飾ります、メリー・ウィドウ・ワルツの話。人生初めてのオーケストラ演奏会から月日は流れ、初めてのウィーン旅行。着いた次の日に初めて触れたウィーンの音楽がフォルクスオパーで観たメリーウィドウでした。あー、なんて、ステキ!本場初オペレッタ体験にうっとり、演奏そのものはもちろん、劇場の絨毯の感触、シャンデリアの眩さ、観客の華やかさと香水の香り…、と、五感で感じるものなのですね。そして、女性の矜持の備え方と、弱さを見せる瞬間の均衡の保ち方、を、学んだはず、です。

あれから何年も経ちますが、私にとっては、記憶の中でも色褪せない、数々の思い出の情景を引き出しながらの、今回の演奏会です。
そして、この演奏会が皆様の記憶に残るものとなりますよう、団員一同、一所懸命お伝えします。2018年1月8日、お客様のお運びをお待ちします。

どうぞ、皆様、お揃いで、良いお年をお迎えください。

染谷雅子

第25回 2017年12月19日掲載

私たちの教科書

5月の第29回演奏会から、半年以上が過ぎ、今年も師走。明けて、2018年1月8日には第30回定期演奏会が待っています。
1992年秋にパイオニア交響楽団として初めて音が生まれ、皆と音作りが始まり四半世紀が過ぎ、重ねた数は30。すごいと思います。その頃からいる団員の多くが今でも一緒です。それなりの経年変化は認めますが…。もちろん、新しい団員もどんどん増え、今や大きな所帯となりました。

次回の演奏会、プログラムのメインは、ラフマニノフ作曲交響曲第2番です。本当に劇的な曲で、映画やドラマなどにもよく使われます。2007年には、ドラマ「私たちの教科書」で、全編に第2楽章と第3楽章が使われています。ドラマの内容が学校を舞台にしたものだったため、その感動的な旋律や躍動する音が、悲しみや深刻さ、青春の複雑さを、表現することに一役かっていたことを覚えています。

先に年数のことをお話ししましたが、なんと、黒岩先生にお世話になり20年、1997年に初めての共演から、当団主催の演奏会はほとんど先生に指揮をしていただいています。トレーナーの先生方からも、本当に納得のゆく、素晴らしいご指導をいただき、それぞれの技術革新(できる範囲での)への努力の糧としています。でも、本番への曲作りは、黒岩先生のご指導です。
先生の演奏会作りは、まず、曲作りの基本となる譜面作りからはじまります。さらに、それを成就すべく、細かい指示が出され、それに、やっとついて行く私達。ご想像ください。一つ言われ、できるようになると、以前できていたことができなくなっている…、など、茶飯。そんな私たちに先生は辛抱強く、付き合ってくださいます。
技術もさることながら、教えていただいたことで、最も大事なことが、「魂」です。
情熱、熱意、音楽への気持ち…、など、いろいろな言い方ができるかと思いますが、20年のご指導の下、この「魂」の部分を教えていただいていると思っています。
第一に、まずはとにかく「一所懸命演奏すること」。
お客様へ努力の成果をどれだけ伝えられるか、それは、気持ちをどれだけ伝えられるか、です。その「一所懸命演奏する」ということは口で言うほど簡単なことではありません。でも、そこから、伝えられるもの、お客様が感じられること、その結果、私たちが得られる達成感、それを心にとどめること、を知ることができました。

黒岩先生のご指導の下、出来上がってゆく私たちの教科書はまだこれからもページを増やしてゆきます。皆様にその「魂」をどれだけお伝えできるか、聴きもの(?見もの?)の2018年新春コンサートへぜひ、お運びください。一所懸命演奏しますので、私たちの熱い「魂」を受け取ってください。

染谷雅子

第24回 2017年5月15日掲載

あの日の私

いよいよ、週末に控えた第29回定期演奏会。
演奏会の幕開けは華々しく「軽騎兵序曲」です。

さて、またまた、昔の思い出話。小学生の頃、このまま、音楽の学校へ進むのかしら?などと、うっすら考えていた頃のこと。
とはいえ、どんなバイオリンを弾く人になるかなど、考えも及ばなかった頃です。
このまま、お稽古に通い、難しい曲を弾けるようになることが、どういうことにつながるかなんて、想像できませんでした。でも、もちろんバイオリンは大好きでした。
そんな頃、学校からの案内で、市の文化会館で音楽教室がありました。
それまでにオーケストラ演奏やバレエ公演などの音楽会には行ったことがありましたが、音楽教室は初めてでした。
2階の一番前の席に座った私は、その時初めてオーケストラの全様を見、また、各楽器の音の特徴やその役割を細かく知ったのでした。
一つの楽器だけではなく、沢山の楽器が一緒に作る音のなんと饒舌なことか・・・(そんな言葉はその頃知らなかったと思いますが)。
その驚きは、沢山のことと一度に出会った喜びで、その後、頭が痛くなったほどでした。
そして、知ったのです。オーケストラの中でバイオリンを弾く人がいることを。

さらに、オーケストラが物語を語れることも知りました。
最後に「軽騎兵序曲」の説明があり、演奏されました。トランペットの軍隊ラッパのようなファンファーレ、ギャロップのリズム、など、曲が始まると、瞬く間に、頭の中では軍服を纏ったたくさんの兵士たちが馬で勇ましく行進する様子が映画のように流れ、音楽ができることの多さに驚き、「あそこで弾いている人達」に憧れた日でした。

その日からどれだけの年月が経っているのでしょう。結局、音楽の道には進まなかったけれど、今、私はあの時見た「あそこ」でバイオリンを弾いています。
もしかしたら、週末の演奏会に来て下さるお客様の中にも、また、あの頃の私がいるかもしれません。
その子が出会う音楽の瞬間も、私が出会ったものであるように、「より多くの人と、感動を」というパイオニアの信条と、「音楽性の向上」というPSOの目標の両方を大切に、団員一同演奏いたします。どうぞお楽しみください。

染谷雅子

第23回 2017年5月12日掲載

スリーピング・ビューティー

「原題の『Sleeping Beauty』より、『眠りの森の美女』のほうが、センスいいよね。『森』なんて、どこにも入ってないのにね。」黒岩先生のこんな言葉から始まった、ある日の「眠りの森の美女」の練習。
うーん、確かに、「眠りの森の美女」が当たり前で、使っていますが、日本語に最初に訳した人はカッコいいなぁ、と思っていたら、もともとのおとぎ話の原題がフランス語でまさに「眠りの森の美女」らしい。

バレエ音楽は、いつも劇的。それは、劇ですからね、そうなのですが、セリフがない分劇的度は高くなるのでしょうか。物語に引き込まれてゆく音楽世界は、妖精の魔法さながら、チャイコフスキーの魔法がかかります。

子供のころにはもっと簡単に魔法にかかりました。幼い頃、あるクリスマスプレゼントは「眠りの森の美女」のLPでした。これには女優の樫山文江の語りがついていて、子供にはとても分かりやすく、何度も何度も聴いた記憶があります。妹とバレエごっこしながら…。ハープの音が魔法にかかる合図です。
現在のようにすべてのことで情報量が少なかったあの頃、幼い子供にとって、想像力を駆使できるその時間は本当に楽しく、いともたやすく魔法にもかかりました。
それでも問題はありました。「糸車」ってなに?「糸車の針」ってなに?です。
ごっこをしていても、そこで話が止まっちゃう。まずは親からの聞き取り、そして、祖母。その結果、作り出したのは、ミシン糸の糸巻きに色鉛筆を刺す、というものでした。のちに本当のバレエの舞台に連れて行ってもらった時に、自分たちの想像力の豊かさを幼心に自負したことを覚えています。

そんなめくるめく夢の世界に少しでも近づけるよう、今回プログラムの「眠りの森の美女」の練習では、様々なことをトレーナーの先生に教えていただきました。浮遊するような、無重力感のある音を作ることや、物語を示唆する和音の重要性とその弾き方、など、言われることはわかるけど、なかなか体現できないんだよなー、と、ため息をつきながらの練習もありました。でも、それはそれは楽しい時間で、きっと、何十年も前に魔法にかかった幼い頃の私の時間と同じなのでしょう。
あの幼稚な糸車を思い出しながら、バイオリンを弾いています。
そして、お客様、演奏会では、魔法にかかって、スリーピング・ビューティーになってみては?

染谷雅子

第22回 2017年5月10日掲載

ボヘミアン・ラプソディー

先の演奏会から、あっという間に月日は経ち、すでに次の演奏会を5月20日と目前に控え、練習は仕上げの時期を迎えています。
パイオニアオケにとって、今まで経験のないプログラムに挑戦した第28回演奏会は、四半世紀の集大成として、また、新しい経験もできて、私たちの宝物の一つになりました。私個人としては、バイオリンコンチェルトの感動は大きなもので、また、アンコールで演奏された戸澤先生のバッハは本当に心に沁みる音でした。

オーケストラ結成より25年目を迎えるこの年、第29回定期演奏会、メイン曲はチェコ出身の作曲家ドヴォルザークの交響曲第8番に挑戦します。この曲は「ドボハチ」と称され、親しまれています。

先日、国立新美術館にて開催されている、「ミュシャ展」にて、日本初公開となる「スラブ叙事詩」を観てまいりました。ミュシャが晩年、故郷のチェコへ戻り、故郷を称え、残りの人生を捧げた渾身の超大作です。
ミュシャ展公式ホームページ「スラブ叙事詩」紹介はこちら

チェコの史実に基づく事実や伝承されてきた話を題材に、民族の誇りや故郷への思いがあふれ出ているようでした。そして、歴史の悲劇や喜び表現していても、常に自然に対する畏怖のようなものがあり、自然の風の音や戦いの騒動、人々の話す様子がはっきりと聞こえるように見られます。作品全体にうっすら霞がかかったような色合いは、その地の空気を表しているのでしょう。そこからは彼の地の歌が聴こえてきそうでした。音が見えて、色が聴こえる。そう、まさに「ボヘミアン・ラプソディー」。

今年は、たまたまですが、パイオニアオケ以外でも、ドヴォルザークの交響曲を弾く機会があり、偶然でも、同じボヘミアの芸術家のこの作品を見られたことが、少しでも音楽に役立てたらよいなぁ、と思い、練習の度に好きだった絵を思い出しています。

そして、私たちのオーケストラは、この半年間のトレーナーの先生方、また、黒岩先生のご指導もと、どんなパイオニアン・ラプソディーを奏でられるか…。残る日々で、今回も素敵なチラシのデザインのような、または、ミュシャが描いたような、ボヘミアの風にもう一歩近づけるよう精進いたします。ご期待ください。

染谷雅子

第21回 2016年7月12日掲載

デコピン考~
ピチカートのこと

デコピンって、大人になって、この時代、あまりしませんよね。
利き手の中指か人差し指と親指を使って、おでこをピンッとはじく、罰ゲームやお仕置きで子供のころにやったりやられたりしました。
また、おはじき遊びで、やはり同じ動作で狙いを定めておはじきをはじきます。今、ガラスの仕事でおはじきを扱っていて、そんなことを思い出しました。
それ以外、押す、引っ張る、つまむ…など、日常生活の中、指さきを使う動作はいろいろありますが、そういう指先の器用さは脳への作用もあるようで、近頃は指先体操などもあります。楽器を弾くのも良い効果だそうです。

弦楽器には左手で指板をおさえる以外に、弓を持っている右手を使って弦をはじいて音を作る、ピチカートという奏法があります。第28回定期演奏会でも、このピチカートが活躍します。
まずは、チャイコフスキー作曲バイオリンコンチェルト。
前々回の練習は初めての独奏者との合わせでした。
普段、練習でお会いする戸澤先生は、私達PSOの長年ご指導いただいているトレーナーとしてのたたずまいで、先生と生徒として、その雰囲気を共有する感じがします。
でも、その日、私たちの前に立つ独奏者としての先生はいつもと違う雰囲気をまとっていました。ただの練習場なのにスポットライトが当たっているような。
そして、バイオリンが語りだすと…、そう、これがみんなに聴いてもらいたかったの…。練習ながら、その音に聞惚れて数え間違えたり、出損じそうになったりするぐらい、深く慈悲のある音でした。
第1楽章に独奏バイオリンを弦楽器のピチカートで飾る部分があります。その揺れる音楽と、次の盛り上がりへ向かう期待感に添うようについてゆくオーケストラのピチカートです。
この曲、その演奏技術に興味が行きがちですが、私は2楽章の美しさが好きです。音楽の持つ息遣いが、本当に言いたいことを静かに語っているようです。ここでも楽章の最後の部分で独奏と弦のピチカートだけになる部分があります。
本番も含めて、あと数回戸澤先生との合わせの練習がありますが、毎回大事に、もちろんしっかり弾きますが、同時に至福の時間を楽しみたいと思います。

もう一曲。今回弦だけで演奏する、ブリテン作曲「シンプル・シンフォニー」の2曲目、「PLAYFULL PIZZICATO」はその名の通り、曲中全部ピチカートです。しかも早い。
ピチカートは弦を引っ張ってはじく奏法です。弓を使ってスラーでいっぺんに弾くのとは違い、音符の数が増えれば指の往復運動量が増えるわけです。目は譜面を追わなくてはならず、音を出したい弦にしっかり指が到達できず、宙をさまよったり、他の弦をはじいてしまったり、難しいのです。
でも、弦を弾いて発生する音と違い、このピチカートで曲を奏でるということは、もっと原始的な音の喜びに触れるような気もします。

そんなわけで、今回の演奏会、指先が活躍するんです。当日お運びいただける方は、弓を使って「弾く(ひく)」と違った、指で「弾く(はじく)」という弦楽器の表現方法を、ちょっと、気にしてみてください。
そうそう、「シンフォニック・ダンス」では、指パッチンも登場です。
決して、小手先だけでごまかすようなことのないよう、本番までの10日間、仕上げてゆきたいと思います。
間違えたら、デコピンっ!

(第28回定期演奏会 実行委員長 染谷雅子)

第20回 2016年6月27日掲載

デコピン考~
音楽への情熱

本番までいよいよ1ヶ月を切った前回の練習は、パーカッションやピアノなど、エキストラをお願いしているパートも揃っての合奏でした。
特にシンフォニックダンスでは、初めて聴く音もあったり…で、本番が近づいたなあ、という感じで、最初の練習の時の、あのどこで出ていいのかわからなかった感じが、すでに懐かしい気分でした。
今回、ヴァイオリン協奏曲とともに、後半メインに推したのが、このシンフォニックダンスです。
この曲は、バーンスタインが1960年にミュージカル『ウエストサイド・ストーリー』から主な曲を選び、演奏会用に組曲として発表したものです。この次の年、1961年に映画は公開されています。
物語全体を凝縮したこの組曲を聴くと、映画の情景を思い出し、なんとも切ない気持ちになります。特に、ダンスパーティの「チャ・チャ」~「出会い」の部分では、映画の画面の色や、急に人がいなくなり二人だけの世界になる情景が、はっきり見えます。
これは、聴いていても弾いていてもそうで、練習中でも、いつも画面が出てきて、楽しいです。本番でフィナーレを弾くころにはさみしいんだろうな…。

アメリカ音楽の楽しさや面白さを知ったのは、アメリカ在住中です。それまであまりちゃんと聴いたことがなかった、というのが事実。
住んでいたのはオハイオ州シンシナティで、言わずと知れた、シンシナティ・シンフォニー・オーケストラのホームです。今頃の季節は、オハイオ川沿いにある屋外ホールでのリヴァー・ベンド・コンサート・シリーズの時期です。少し砕けたムードで芝生席だと10ドルぐらいでビニールシートを敷いて、サンドイッチを食べながら、こっそりワインなんか飲んで、夕風に当たりながら良い音楽を楽しむという、この上なく贅沢な時間を過ごせます。
そんな時、アメリカ音楽はよく似合います。もちろんそれはそうでしょう、なのですが、現地でのアマチュアオーケストラ活動も含め、それまで、思ったことのなかった音楽の楽しみ方をアメリカ生活は教えてくれました。

ちょうど、練習の次の日NHK教育テレビでNHK交響楽団の4月の定期演奏会の番組が組まれていました。もちろん、PSOメンバーには御ふれが出て、我が家も保存版で録画し、何回も見ています。 指揮はアメリカ人のレナード・スラットキン。彼が彼の知人のアマチュア音楽家についての話をしていました。それは人を動かす音楽の力とそれに対する信念と情熱について。
私たちも情熱を携えて今回の演奏会の曲の魅力を伝えられるよう、残る4回の練習を大事にしたいと思います。

(第28回定期演奏会 実行委員長 染谷雅子)

第19回 2016年6月8日掲載

デコピン考~
情報伝達

最近読み間違えをよくします。
先日は電車の中吊り広告をぼんやり見ていて、『自分で猫く…』という広告を見て、ネコく、ってなんだろう?最近はなんでも動詞化するから、なんか、猫を可愛がったりすることかな…?いやいや違うだろう、読み違えだろう、と気づき、『自分で描く…』で、なーるほど、意味がわかりました、ということがありました。歳ですね。

情報を取り込んでいるつもりが、どこかで読み違えた小さな間違いを自分なりにカバーしてしまって、違う物語ができてしまったりすることもあります。
譜面を読む、ということにも同じようなことが発生します。
歳のせいなのか、訓練不足か、はたまた、本人の性格か、わかりませんが、今まで聞いた演奏や、自分の好みや、思い込みのようなもので、自分の読譜ができてしまうのです。
それぐらい、譜面の情報量は多いのです(私にとって)。
譜面に書いてあること、音符、速度、強弱、演奏指示…、それは絶対なわけで、自己表現はこれらをこなしてから脚色してゆくものですが、なかなか読み取りきれないのです。そして、さらに、読み間違えや読み落としをしてしまうのです。

前々回の練習は弦分奏でした。
トレーナーは元NHK交響楽団、第2バイオリン首席奏者の永峰先生。たとえば、休符がきちんと休めていない、強弱が譜面通りに弾けていない、などの指摘を受けました。結局は譜面がきちんと読めていないのです。というか、音符を追うことに必死で目に入っている記号を脳が処理して手に伝わりきらないのです。プロの奏者はすごいな、こんなことみんな当り前に処理しているんだなー、なんて、あらためて思うことしばしばです。

「音楽性の向上」を目標の一つに挙げているPSO。今一度、譜面をきちんと読むことを考えた練習でした。本番まであと2か月を切りました。残る練習回数も少なくなりました。目から指や腕への正確な情報伝達を目指し訓練を重ね、音楽性の向上を目指したいと思います。

そして、7月17日、第28回定期演奏会、ここに正確に情報伝達いたします。
お運びくださいませ。

(第28回定期演奏会 実行委員長 染谷雅子)

第18回 2016年4月19日掲載

未知との遭遇

前回に引き続き、映画の話になります。

1977年に公開された、アメリカ映画「未知との遭遇」、ご覧になりましたでしょうか?まだ、SFXやCGなどなかったあの時に、なんと大胆で工夫に満ちた画像を作り上げたことか、とスピルバーグ監督の才能に感嘆したものです。
実は、学生の頃、大人ぶってハリウッド映画を敬遠して、ヨーロッパや日本のATG映画などを好んでみていましたが、このあたりからハリウッドの魔法はすごい!と思うようになり、特にこの映画は細部が気になり、何度も見ました。この映画そのものが私にとっての未知との遭遇だったわけです。

そして、本題です。人生いろいろ、未知との遭遇がありますが、今回演奏する「シンフォニックダンス」の譜面はまたまた未知との遭遇となりました。
もちろん、「ウエストサイド・ストーリー」は大好きで、舞台も映画も何度も見ていますし、曲も何度も聞いています。でも…、譜面が読めない!
自分で練習しても、弾いてみると、え?シャイニングみたいだし…、CDを聞きながら譜読みをしても追いつかないし、追いついてもすぐ落ちちゃうし…、と、勝手がまったく違うのです。 近現代音楽の譜面に慣れていないのはもちろんですし、歳と共に譜読み能力も落ちています。まさに未知との遭遇。
これは、バイオリンだけに起きていることではないらしく、他のパートもそれぞれ、未知との遭遇をしているようです。
だから、練習も大変なわけで、指導していただいている先生方をも悩ませていることでしょう。
でも、何度も聞いて、何度も弾いていると、だんだんと合ってくるようになってきたような…気が…します。

さあ、あと3か月!なんと、明日は初めての黒岩先生のレッスンです。どうなることか…?
でも、きっと、そんな苦労も乗り越えて、スナップもManbo!もうまくできるようになって、お客様にはPSO初のアメリカ物に「未知との遭遇」感をお届けできるよう、練習を楽しもうと思います。

(第28回定期演奏会 実行委員長 染谷雅子)

第17回 2016年2月29日掲載

ドラマを作る

今日で2月も終わり、そして、アカデミー賞授賞式です。
「マッドマックス」祭りになっちゃって…。只今、レオ様!良かったね、の瞬間です。

映画や演劇の世界、一般の人は公開されているものを鑑賞する、ということがそれらの作品との唯一の接点ですが、最も身近といえる米国映画の聖地ハリウッドの祭典からは、映画作品そのものの後ろに流れる物語のある一部を垣間見ることができます。

ドラマを作る。
端的に言えば、多くの要素を見事に調和させることで、最大の効果を生み出し、感動的な情景や感情を生み出す、といったところでしょうか。
音楽も同じ。
2月のPSO練習は、2回とも今回のソリストを引き受けてくださった、戸澤先生のご指導の下でした。
弦分奏練習時に言われた、「ドラマを作ってください。」が、印象的でした。

バイオリンコンチェルトで、ソロが出てくるまでのオーケストラの存在をぞんざいにしない、ということです。
その瞬間をめざし、期待感と高揚感をいかに維持し、表現するか!
普段、自分練習では、「これ、指が回るかしら」とか、「2ndなのに、なに、このハイポジション!」とか、乏しい技術を補う精神力ばかり使いがちです。 が、音楽を作るということは、特にオーケストラで、単に個人の指先の技術だけじゃない、ってこと。その境地を目指すには、一人一人がドラマを感じ、それを体現してゆかなくてはならない、ということ。

うーん、難しい!背筋が伸びました。
とにかく、本番までには、瞬間ごとに期待と高揚感を感じ、観客の皆様と奏者皆の背中を押す音楽になるよう、研究します。けっして、背筋を凍らせることのないように…。

(第28回定期演奏会 実行委員長 染谷雅子)

第16回 2016年2月1日掲載

Bの襲来、迎え撃つT

定期演奏会の実行委員長の最も大きな仕事として、曲の選定作業があります。委員長がやってみたかった曲、思いのある曲など、選曲会議にて企画説明をします。
今回はまず、バイオリン協奏曲をぜひやってみたい、ということと、もうひとつは、アメリカ物もやってみたい、と、二つの望みがありました。
どちらも、いつか、自分が実行委員長になったら提案したいと思っていました。昨年夏から秋にかけて、会議を重ねてこの2曲が通り、さらに、その2曲とともにプログラムを作り上げる他の2曲が選ばれ、この華やかな4曲プログラムとなりました。

当団の練習はほとんどが土曜日。練習のある週の水曜日に練習内容、時間割り、その他の情報がemailで配信されます。
毎演奏会ごとにそうですが、作曲者の頭文字をとって、それぞれの曲を表示します。
たとえば、前回の演奏会「レクイエム」の作曲者はMozart、これは「M」と省略され、M14:00~15:00と表示されるわけです。
第28回定期演奏会のプログラムは、Borodin:「イーゴリ公」序曲、Tchaikovsky:バイオリン協奏曲、Britten:シンプル・シンフォニー、Bernstein:シンフォニックダンスと4曲プログラムです。
ということで、4曲のうち3曲の頭文字は『B』。そうなのです。怒涛の『B』なんです。3つのB等はそれぞれBo、Br、Beと表され、それを迎え撃つ孤高の『T』はチャイコフスキーで…、私の頭の中では、そんな景色が見えています。
今週末は、いよいよ戸澤先生の弦分奏練習です。我々もいよいよ実戦です。

(第28回定期演奏会 実行委員長 染谷雅子)

第15回 2016年1月28日掲載

第28回定期演奏会、始動!

2016年、久しぶりのコラム再開です。
最終記事から約3年の時を経て、その間にPSOはたくさんの新しい曲と出会い、演奏会を重ねてまいりました。

2013年7月のパイオニア合唱団との競演では、壇ふみさんのナビゲーションが心地よく、唱歌メドレー『ふるさとの四季』に幼心を思い出し、翌年3月には『ロミオとジュリエット』、10月には『火の鳥』と物語をたどりました。

昨年、2015年5月にはみんな大好き、ブラ1。1995年第3回定期演奏会で演奏した感動を、黒岩先生で再体験することができました。
そして、11月には合唱団とともに、20年前と全く同じ日に、モーツァルト『レクイエム』。と、いわば、25周年を目前に、足元を見直した年とでもいいましょうか。

そして、パイオニア交響楽団始動より24年目を迎える今年、新たなプログラムに挑戦します。
第28回定期演奏会、いよいよ、とうとう、バイオリン協奏曲、しかもチャイコフスキーです。そして、なんと、バーンスタイン『シンフォニックダンス』。詳細は当ホームページの「コンサートのご案内」をご覧ください。

さあ、新たな、一面をお見せできるであろうプログラムの練習の始動です。
これから、定期演奏会本番まで、団員一同、どのようにこの大曲プログラムに取り組んでゆくか、不定期ではありますが、お伝えしてゆきたいと思います。
ぜひ、お付き合いください。
一緒に感動を分かち合えますように。

(第28回定期演奏会 実行委員長 染谷雅子)

第14回 2013年2月21日掲載

第24回定期演奏会を開催

2月17日(日)新宿文化センターで第24回定期演奏会を開催いたしました。
1078名のご来場をいただき、当団の入場者新記録を達成いたしました。
ご来場いただいた皆様のお陰です。たいへんありがとうございました。

「1812年」冒頭、気持ちが先行してだいぶ乱れてしまいました。
練習段階ではすばらしい出来だっただけに残念でしたが、後半の盛り上がりは素晴らしい仕上がりになったと思っております。
大砲の迫力、鳴り響く鐘の音、さすが音響のパイオニアとの感想をいただきました。
「ピーターと狼」はなんといってもマユミーヌさん無くしては語れないでしょう。あの声、キャラクターに合わせた演技力で物語を盛り立てていただきました。客席のお客様だけでなく、演奏しているオーケストラも楽しめるものになりました。
「悲愴」はやはり名曲です。黒岩先生の熱い指揮に導かれて無我夢中で演奏している自分がいました。3楽章の終盤は本当に興奮して怒涛のようにコーダになだれこみました。4楽章は我々のすべてを捧げた演奏になったと思います。最後のチェロとコントラバスのpppがすばらしかった。

アマチュアにはアマチュアなりの音楽表現があると思います。プロのような技術は持ちあわせていませんので、「熱い気持ち」をお伝えすることがすべてです。
次回第25回の演奏会もPSOらしい熱い演奏をしたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。

(山口@第24回実行委員長)

第13回 2013年2月1日掲載

全体合奏 マユミーヌさんが初参加

1月26日(土)全体合奏(黒岩先生)を行いました。
ピーターと狼の語りマユミーヌさんが練習に初参加しました。とてもチャーミングなかたです。語りが入ると音楽が生き生きとしてくるのがわかります。黒岩先生からも積極的にセリフについてのアドバイスをいただき1時間の練習はあっという間に終了しました。マユミーヌさんは残り3回の練習にすべて参加されます。次週からは流れに沿った練習になりそうです。聴いてくださるお客様、演奏しているオーケストラ、語り、すべての人が楽しめる舞台にしたいと思います。

「悲愴」の練習で黒岩節さく裂。全員が死ぬ気で演奏しないとOKが出ませんでした。
特に4楽章の練習に熱が入りました。黒岩先生曰く「弾き終わったとき立ち上がれないくらいすべてをかけて弾いてくれ。」あと数回の練習でどこまで先生に迫れるか。
どこのオケより熱い演奏をお届けできそうです。結果は本番でご確認ください。

2月17日(日)新宿文化センター 14:00開演
皆様のご来場をお待ちしております。

(山口@第24回実行委員長)

第12回 2013年1月28日掲載

弦分奏、管分奏

1月19日(土)弦分奏(戸澤先生)、管分奏(大成先生)を行いました。
弦分奏が15:00からであったため、12:30から中低弦のパート練習を行いました。

今回パート練習の狙いは「1812年」冒頭のチェロ・ヴィオラのメロディーです。 円座になり、お互いが見えるかたちで何度も繰り返し歌い方を確認しながら弾きこみました。その他各パートごとに課題の箇所を練習し分奏に臨みました。
パート練習の成果か、戸澤先生に「昨年来た時と違うオケみたいだね」とうれしいお言葉をいただきましたが、その後「18212年」の冒頭を30分も指導していただきました。今日の練習でこの部分はかなりの手ごたえを得られました。本番までこの感じをみんな忘れないよう祈るばかりです。
管分奏も大成先生の熱心なご指導でかなり良い感じに仕上がってきたそうです。

本番まであと1カ月。来週からは「ピーターと狼」の練習にマユミーヌさんが参加しますので、これも楽しみです。語りが入ると俄然演奏も楽しくなると思います。
次回はこのあたりを報告したいと思います。

(山口@第24回実行委員長)

第11回 2012年12月21日掲載

第24回定期演奏会のご案内

2013年2月17日(日)14:00~新宿文化会館大ホールにて第24回定期演奏会を開催いたします。

【曲目】チャイコフスキー 序曲「1812年」
 プロコフィエフ  ピーターと狼
 語り:マユミーヌ
 チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
【指揮】黒岩英臣

今回メインは待望のチャイコフスキー「悲愴」です。毎回選曲候補にあがり、またアンケートのリクエストでも常に上位を占めていた「悲愴」が、満を持しての登場です。しかも黒岩先生の指揮です。これを聴き逃す手はないと思います。

前プロは同じくチャイコフスキーの序曲「1812年」です。後半の大砲の音に驚かないように。もちろん本物は使えませんが、ド迫力で迫りたいと思います。

中プロは「ピーターと狼」。子供用と思ったら大間違い。天才プロコフィエフの傑作の一つです。語りはCMソングなどでご活躍のマユミーヌさん。語りがはいることで何倍も楽しめる曲です。
我々もお客様といっしょにハラハラドキドキして楽しみたいと思います。

みなさん、お誘いあわせの上是非ご来場ください。

(山口@第24回実行委員長)

第10回 2009年12月28日掲載

新練習場への引越

目黒から川崎への本社移転に伴い、練習場所も変わりました。

オーケストラの備品(打楽器、コントラバス、譜面台、楽譜など)の引っ越しの為に、11月28日に団員有志が集まり、移動を行いました。

1992年の秋に交響楽団が創設されて以来、17年間にわたり練習を重ねてきた目黒には色々な思い出があり、楽器を運んだり楽譜を段ボール箱に詰めたりしながらも、ちょっとさびしい気持になりました。
引っ越しついでに、思い出に写真を撮ってる人もいました(笑)

川崎事業所に到着し、どこに楽器を格納するんだろうと案内された場所は…、大会議室の壁一面にある収納庫でした!!!普段会議で使用しているときはただの壁と思っていたのですが、収納庫になっており、秘密基地のようです。
練習場所(大会議室)内にある収納庫からは、すぐに楽器の出し入れが出来るので快適そうです。また楽譜を入れる書庫も確保でき、駅から遠いものの川崎も良いなと思いました。

こんな良い環境を用意してくれた、総務の方に感謝します。
また、今年も大勢の方のご支援により演奏活動ができ、大変感謝しています。
では、皆様、良い年末をお過ごしください。

(岩崎@Vc.)

第9回 2009年11月16日掲載

第20回定期演奏会

2009年11月8日(日)14時~文京シビック大ホールにて、下記の通り第20回定期演奏会を開催いたしました。
多数のお客様にご来場いただき、本当にありがとうございました。

指揮:黒岩 英臣
ピアノ:黒岩 悠
曲目 スメタナ:モルダウ(交響詩「わが祖国」より)
ドリーブ:バレエ組曲 コッペリアより
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番

第20回という節目の演奏会としては地味な(渋い)プログラムでしたが、当日は『モルダウ』の冒頭フルートソリから有名な1stヴァイオリンの旋律、『コッペリア』のスラブ民謡による変奏のクラリネットソロ、そしてメインは黒岩先生親子共演でのアマチュアでは(プロでも?)あまり取り上げない『ブラームスのピアノ協奏曲第1番』でのすばらしく熱の入った演奏等、お聴きいただいた皆様にはお楽しみいただけたかと思います。

しかしこの日に至るまでは、やはり色々ありました。実行委員長を引き受けたときには、一番の仕事はホール取りと聞き、取れなかったらどうしよう、と悩んだのですが、(参考)オーケストラ、そして指揮者の都合で日程が狭まる中、エントリーした文京シビックの大ホールが昨年11月1日に決定し、これで仕事は終わったかと思いきや…

曲目決定も各パートの人数格差により大変で、第19回演奏会後の約半年はチケット・チラシ・ポスター・案内状・プログラム等広報について、それが一段落したら当日に向けて参加費・舞台での配置等々、様々なことを相談しつつ決めていく毎日でした。
そして3週間前に、文京シビックにはピアノの弾ける楽屋がないということが分かった時には愕然としましたが(それまでにピアノ協奏曲をやるのにその必要性に思い至っていなかった自分にも大反省ですが)、団員に近くでピアノが弾ける音楽スタジオ等を募ったところ、無事空いているところが見つかり、ほっとしました。

というように、オーケストラの演奏会を実施するのはやはり色々大変ですが、力を合わせてよい演奏ができた後の達成感もなによりです。
ご協力いただいた団員の皆様と、お聴きいただいたお客様に感謝いっぱいです。

(森@第20回実行委員長)

第8回 2009年11月4日掲載

第20回定期演奏会のご案内

11月8日の定期演奏会がいよいよ近づいてきました。

パイオニア交響楽団は節目である第20回の定期演奏会を迎えます。
皆様のご支援のもと、活動を続けてこられたことを心より感謝申し上げます。

指揮の黒岩先生には第5回定期演奏会(1997年)から指導して頂いていており、今回はピアノ協奏曲にて、ご子息の悠さんとも共演することになりました。
指揮・ピアノ・オーケストラが一体となった演奏を多くのお客様に聴いて頂きたく練習を重ねております。

皆様お誘い合わせの上、是非お越し下さい。
団員一同、皆様のご来場をお待ちしております。

演奏会の詳細については「コンサートのご案内」をご覧下さい。
コンサートのご案内

(広報係@vn)

第7回 2009年10月2日掲載

最近の演奏会

このたび社内広報係を引き継ぎました新入社員vn弾きです。
なんとこのコラム、前回更新されたのは7年前!ベルギーの演奏旅行…先輩方羨ましいです!!せっかく引き継ぎましたのでこのコラムも定期的に更新していきたいという意気込みです。

では、今回のお題は「最近の演奏会」。
先日マレーシアフィルの演奏会に行ってきました。
お目当ては大好きなヴァイオリニスト、ワディム・レーピン氏のブラームス協奏曲。レーピン氏の音は本当に艶やかで深みがあります。音程や細かな部分で、むむ、と思うところもありましたがそこはやはり音楽性で納得させられました。カデンツァは馴染みのあるヨアヒムのものではなく、初めて聴くもので、調べてみるとどうやらハイフェッツ作のようです。このカデンツァ!超絶技巧があらゆるところに散りばめられ、ブラームスの色合いは少ないように感じましたが、とても楽しそうに超絶をこなすレーピン氏。一つ一つの音がキラキラと輝いていました。またオケも、新しいオケとはいえ、世界中の名手で構成されたマレーシアフィルだけあり、二楽章のオーボエソロも素晴らしく、ソリストをがっちり支えているという印象を受けました。

さて、11月に行われるパイオニア交響楽団の定期演奏会でも、楽器は違うもののブラームスの協奏曲を演奏します。指揮者の黒岩先生のご子息である悠さんとのピアノ協奏曲です。
私たちもソリストを迎えることができる喜びを感じつつ、素晴らしい本番を迎えられるように、練習を重ねていきたいです。

日々の練習と…、コラムの更新も頑張りたいと思います。ね、団員の皆様!!

(じんじん@vn.)

第6回 2002年7月5日掲載

ベルギー演奏旅行の感想

若葉の緑も日増しに色まさる季節に、パイオニア交響楽団は、「北のベネツィア」と呼ばれることもあるベルギーのブルージュで開催されている「ブルージュ2002」のアマチュア音楽祭に参加してきました。ベルギーといえば、ビールがおいしいことで有名ですね。参加した人の中には、演奏することと同じくらい飲むことが好きな人達もおり、また北海道よりも緯度が高い地域なので、この季節は夜9時を過ぎてもまだ明るいこともあって、リハーサル前さらには本番前の明るいうちに「気合を注入」することもしばしばでした。

肝心の演奏会は、外壁が現代アート調で(シューベルト風にいうと未完成な)、豊かな響きのするホールにて、大喝采の中、無事終了することが出来ました。「カントーレス」という地元のアマチュア合唱団との共演ということもあり、聴きに来られた地元のお客様の目や耳は、やや合唱団よりに向けられていたと思いますが、もし演奏を聴くことにより生まれた満足感や幸福感があったとすれば(あったと信じる)、それらをお客様と一緒に共有できたことを、私はなによりも誇りに思っています。

さて演奏以外では、パリでオレンジジュースを注文したつもりがグレープフルーツスカッシュに化けてしまったり、シャルル・ド・ゴール空港で散々迷ってあやうく飛行機に乗り遅れそうになったり、救世主大聖堂(St.Salvatorkathedraal)で行われたせっかくのオルガンコンサートで最初から最後まで寝てしまい、会場の雰囲気や音色など、記憶のかけらも残っていないことなど、いろいろなこともありましたが、終わってみればどれも楽しい思い出です。今回の演奏旅行では、旅なれない私にいろいろな方から様々なサポートをしていただきました。最後になりますが、この場を借りて感謝したいと思います。

(長澤@Vn.)

第5回 2002年4月15日掲載

中欧でのオペラ

パイオニア株式会社では、年1回任意の時期に長期休暇を取得することができます。
この長期休暇を利用して、パイオニア交響楽団の同じトロンボーンパートの団員とともに、チェコ、ドイツ、ポーランドを旅行してまいりました。

古い建物が多く残る街や、戦争の爪あと、多大な努力による復元の建物、新しく機能的な街、など、場所ごとの雰囲気の違いも興味深く、また、それぞれの地方での食べ物やビール、ワイン、ウォッカなど大変美味しいのですが、趣味とはいえ音楽をやっているものとして最も興味深いものは、やはりコンサートやオペラです。今回は残念ながらコンサートとは日程が合わなかったのですが、各地でオペラを5つ鑑賞しました。

私がオペラに関心を持つようになったのは、パイオニア交響楽団に入団してからになります。パイオニア交響楽団は、パイオニア合唱団とともに演奏会を開くことがあり、その際にオペラの中からの抜粋をとりあげることがあります。私はパイオニア交響楽団に入る前は、交響曲や管弦楽曲などのオーケストラの曲ばかりを聴いていた(吹いていた)ので、オペラはほとんど知りませんでした。しかし、オペラの作品に触れるにつれ、交響曲などとはまた違った面白さがあることがわかり、また、オペラのオーケストラの演奏が、オーケストラコンサートの演奏と違う(省エネというかコンパクトなんだけど、やるとこはやるというような...)のも興味深く、旅行の度に聴きに行くようになってしまいました。

さて、今回の旅行で聴いたのは、
 プラハの国民劇場でスメタナの「売られた花嫁」
 プラハの国立歌劇場でプッチーニの「トスカ」
 ドレスデンのザクセン州立歌劇場でR.シュトラウスの「薔薇の騎士」
 ベルリンのドイツ・オペラでヴァーグナーの「さまよえるオランダ人」
 ワルシャワの国立歌劇場でヴェルディの「椿姫」
でした。
合唱がとてもすばらしいかったり、ソリストが見事だったり、音が束になってうねるオケや、渋く寒々とした音の弦楽器、オペラオケらしいコンパクトな管など、それぞれが独特の魅力を放っていました。中欧は奥が深いです。

ところで、オペラの醍醐味(?)の一つと私が勝手に思っているものがあります。開演前と幕間にオケピットのすぐ前に行き、ウォーミングアップや曲をさらっているオケプレイヤーを眺めることです。ごく至近距離で個人で演奏しているのを聴いていると、色々なことがわかります。ものすごくテクニックのある人だったり、すごく不器用だけど、オケの中ではすごくいい味を出す人だったり。ただ本番の演奏やCDでの演奏を聴くだけではわかりにくい、プレイヤーとして大変参考になる部分を聴くことができます。私は、オケのよく見える価格の安い上の方の席に座ることが多いので、幕ごとにオケピットのある下まで降りるのは一苦労なのですが、こればっかりはやめられません。あまり行儀のよいことではないかもしれませんが。

ということで、中欧とオペラについて書きました。
前回のコラムにもありますが、パイオニア交響楽団は1ヶ月後にベルギーに演奏旅行に参ります。演奏曲目にはオペラからの抜粋もあります。伝統ある中欧の一流の演奏家のような素晴らしい演奏はできませんが、日本にも音楽好きの人が沢山いることが伝わるような演奏ができればと思います。

(松本@Pos.)

第4回 2002年3月25日掲載

国際交流

先日友人に誘われ、『日韓親善チェロコンサート』という演奏会に行ってきました。内容をほとんど知らずに行ったのですが、か~なりビックリしました。神奈川県民ホールに入ったとたん目についたのは舞台上にある椅子の多さです。もうこれ以上椅子を置く事が出来ないのでは・・・と思う程、舞台上は椅子で埋め尽くされていたのでした。その数はなんと230脚です。通常オーケストラは70~80人も居れば大きい方だと思うのですが、チェロだけで2倍を上回る数です。ビックリしてパンフレットを読むと下記のような事が書いてありました。

阪神大震災復興支援を目的とした、『1000人のチェロコンサート』から国際チェロアンサンブル協会は生まれました。災害に苦しむ人々を勇気づけたり、癒したりしたいという思いと、国際平和への願いを、チェロアンサンブルを通じて実現していく事を目的としています。今回は日韓両国のプロ、アマの演奏家が両国の親善と文化交流の活性化を願って、ボランティアで参加しています。

このような事を知らず、興味半分で聴きに行った事、また単純に椅子の多さにビックリした事をとても恥ずかしく思いました。また、それと同時にチェロ弾きは善い人が多いんだな~とちょっと嬉しく思いました。
(私もチェロ弾きなので。)

実際に演奏を聴き、音楽を通じての国際交流は十分に可能であり、達成していたと感じました。また、このように行動できる事はとてもすばらしく、尊敬しました。

ここで、パイオニア交響楽団の話になるのですが、HP上の他のページにもありますように、今年5月にベルギーで演奏会を行います。この公演は欧州文化首都というヨーロッパの文化交流の行事の一環として行われます。この企画が持ち上がった時には文化交流ということは、あまり考えていなかったのですが、上記の演奏会で深く感銘を受けた今は、我々がベルギーで現地の合唱団の方と共演する事も、とても意義深い事に思え、また、最善の努力をもって、充実した演奏会になればと願っています。

(岩崎@Vc.)

第3回 2001年6月14日掲載

腰痛とコントラバス

定期演奏会も間近に迫り、皆々様最後の調整に余念がない毎日を送られていることと思われます。
(これが届く頃には、演奏会が終わっているかもしれませんが)
私も、田園の4楽章に備えて指の皮を鍛えている毎日です。
こんな時期に全くふさわしくない話題をひとつ。

実は、私はギックリ腰を3回患っている。3回目の激痛は、つい先日4月の末にやってきた。
つい先日も練習の前日に軽い腰痛に見舞われたが、何とか腰にコルセットを装着して練習に臨むことが出来た。

最近、コントラバス奏者という激務にこの腰が耐えられるのはいつまでか、と、ふと不安に思う。
コントラバスは打楽器だなどと揶揄する人もいるし、体力的にはかなりきつい楽器であることには間違いない。
特に、背もたれの無いあの中腰のバス椅子に座るか、立ちっ放しかで演奏しなければならないので、腰痛持ちには非常に辛い。最近は冗談で他の楽器に転向しようかとも考えているなどと言っている、が、考えてみればバイオリンは今から始めたのでは辛いし、ビオラはハ音記号が読めないし、管楽器は独奏楽器だから弦楽器からの転向は寄らば大樹の陰ができないので難しいし・・・などと考えていた。
だが、先日の腰痛をおしての練習のときハタと気がついたことがある。

腰痛にとって、一番辛いのは、同じ形で長時間いること。
仕事中も、椅子の仕事が30分続くと立ち上がって姿勢を変えないと痛い。
演奏会の最中に、痛みが襲ってきたときに、座って演奏する楽器奏者が突然立ち上がって腰を伸ばしたら、観客はビックリしてしまうだろう。ところが、コントラバス奏者に限って言えば立ち上がったところで観客は何の不自然も感じないのではないか。

ということで、腰痛持ちにはコントラバスというのは、ある意味では最適の楽器だということが言える。
結論としては、今後できるだけ永く演奏活動を続けるためには、(1)コントラバスを弾き続ける(2)腰に負担がかかりそうな激しい曲は回避する。(そのために、コントラバスの団員を9人以上に増やし、降り番が可能な状況を作る。)ということで、団員募集中!!
(3)軽くて、重厚な音が出て、安い楽器を探す。(不可能か)

但し、今後のネックは、「体力的にキツイ曲」と「楽器の運搬」でしょうね。

(高石@Cb.)

第2回 2001年4月2日掲載

前回に続き、第2回目のコラムを書かせて頂きます。とは言え第1回目を書いてからずいぶん日が経っているのでうまく続くか自信がありませんが・・・。

さて、ウィーン・フィルの演奏会の後半ですが、曲はR.シュトラウスのアルペン交響曲です。初めて本拠地で聴くのに、こんなに贅沢な曲で良いのでしょうか? どのように贅沢なのか、申し上げますと、
1.ウィーン・フィルの所有している楽器を全て使うのではと思う程、色々な楽器が使われる。
2.団員全員が登場するのではと思う程、大編成の曲。
なのです。
このアルプスの雄大な自然を描いた大曲をウィーン・フィルがどのように演奏するか・どのように演奏したか・・・。色々書きたいのは山々なのですが、文才の無い私が何を書いても、到底皆様に伝えきれないでしょう。ただ1行だけ書くとすれば・・・、今までのコンサートで一番感動し、音楽だけでなく色々な事を考え、またすぐにでもウィーンに行きたいと思いました。

つい先日(03/23)、この演奏会のCDが発売されましたので、 御興味のある方はお聴きになってみては如何でしょうか。
ティーレマン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
R・シュトラウス作曲 アルペン交響曲 UCCG1031

そのほかにも今回のウィーン旅行では、ヨーロッパの文化にふれ、数々の素晴らしい教会を散策し、色々な良い経験をする事ができました。

と言うわけで、拙い文章を2回も続けて読んで頂き、ありがとうございました。今後は文才あふれるメンバーからの素晴らしいコラムにご期待下さい。

(岩崎@Vc.)

第1回 2001年1月31日掲載

ホームページのリニュ-アルと共に出来た、このコラムコーナー。 練習での出来事・普段何気なく考えている音楽の事・好きな指揮者・作曲者などなど、団員から寄せられた原稿をどしどしUPして行こうと思っています。 では、コラム第1回を始めましょう。

10月にウィーンに行ってきました。PSOのメンバーでの個人的な団体旅行です。
私にとっては初めてのウィーンです。ウィーンと言えば、ムジークフェライン+ウィーンフィルを真っ先にイメージし、よだれが出てきます。前々からチケットの予約をしていたのですが、なかなかとれず半分あきらめていましたが、出発直前に「チケット取れたよー」の連絡が!! もう、うれしくてうれしくて、『ガォー!!』って感じです。

前半の曲目はR.シュトラウスの「薔薇の騎士」組曲でした。このコンサートの2日前に国立歌劇場で歌劇「薔薇の騎士」を見たのですが、その演奏のギャップにびっくりしました。
歌劇場では歌の伴奏として、おとなし目に弾いていたのが、ウィーンフィルとしてのこの演奏会では自分達のやりたいように・・・、言葉になりません。楽しそうでした。超~感動しました。涙がでました。 一緒に聴いていた友人達も大興奮でした。
休憩時間はどんなに自分が感動したか、互いにしゃべりまくり合っていました。

さて、後半は同じくR.シュトラウスの・・・、と思いましたが、あまりにも長くなりそうなので、後半は第2回のコラムにしたいと思います。
では、パイオニア交響楽団同様、このコーナーも温かい目で応援をよろしくお願いします。

団員の皆さんへ
と言う事で、原稿をよろしくお願いします。皆さんから原稿がもらえないと、私の日記コーナーになっちゃいます。

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