報道資料:有機ELフルカラーディスプレイの開発に成功

ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、あらかじめご了承ください。

Pioneer
1998年 9月 28日
パイオニア株式会社

有機ELフルカラーディスプレイの開発に成功

有機EL

当社は、これまでのディスプレイでは得られなかった多くの優れた特徴を持った、マルチメディア時代にふさわしいディスプレイ『有機EL(注1)フルカラーディスプレイ』の開発に成功しました。これにより、10インチ程度までの小型サイズに最適なディスプレイが誕生することになります。

当社では1988年に有機ELディスプレイの研究を開始し、昨年11月には業界で初めて単色の有機ELディスプレイの商品化に成功しました。これと同時に、フルカラーディスプレイの実現に向けた研究開発にも取り組んでまいりました。今回、赤・緑・青の発光が得られる有機材料の塗りわけ技術の開発と、有機材料の改良によるフルカラーの基準となるNTSCの色度の実現に成功しました。

この有機ELフルカラーディスプレイは自発光型(注2)のディスプレイであり、ディスプレイに求められる高輝度、高視認性、極薄型、微小電力という諸要件を全て満たすことができる特徴を持っています。これらの要件を同時に満たすことは、LCD(液晶ディスプレイ)をはじめとする従来のどのディスプレイでも実現できなかったことです。これらの優れた特徴を活かすことで、各種機器への広範囲な応用が可能となります。今後カーナビゲーションや携帯機器などのディスプレイはもとより、PDA機器(パーソナル デジタル アシスタント)やサブノート型パソコンなど各種機器用ディスプレイの幅広い商品化を目指し、2000年を目処に事業化に取り組んでまいります。

※ この技術は9月14日から米国オレゴンで開催されたエレクトロルミネッセンスの国際会議であります『EL98(The 9th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence) 』で発表いたしました。
※ この試作品は10月6日からインテックス大阪で開催される『エレクトロニクスショー'98』に出品いたします。

【背景】

マルチメディア時代を迎え、特に重要となるのが機器と人間を結ぶヒューマンインターフェースとしてのディスプレイです。何時でもどこでも使え、美しく目にやさしいディスプレイが強く求められています。このようなディスプレイを実現するためには、

  • 高い視認性(明るくても暗くても、またどの位置からでも見える)
  • 表示が美しく高品位
  • 薄型軽量
  • 微小電力で使用可能(電池使用の携帯機器には不可欠)
  • 安価

など、多岐にわたる技術的要件を満足するデバイスが必要になります。

現在、コンピュータや各種機器のディスプレイには、CRT(ブラウン管)やLCDなどが使われており、大きな市場を形成しています。これら各ディスプレイはそれぞれの特徴を持っていますが、前記した技術的要件のすべてを同時に満たすものはこれまでありませんでした。したがって、機器の性格によってディスプレイを使い分けせざるを得ないのが現状でした。小型軽量で暗所でも使われるPDAや携帯機器の台頭など、マルチメディア時代を迎えてより優れた次世代のディスプレイの開発が望まれていました。

【 有機ELフルカラーディスプレイの特徴 】

このたび開発した有機ELフルカラーディスプレイは、次の図にあるような有機薄膜構造をもった面発光型(注3)のディスプレイパネルであり、次のような特徴があります。

  • 自発光型であるため視認性が高い
  • 面発光型特有の美しい表示ができ、機器の品位を高められる
  • 厚さ4mm程度の薄型で、機器の小型軽量化がはかれる
  • バックライトが不要で省電力
  • 15ボルト程度の直流電圧で駆動できるので電池使用のPDAや携帯機器で威力を発揮
  • 表示の応答速度が非常に速い(LCDの1000倍以上)ので、残像やちらつきがなく、動画再生などいかなる用途にも対応できる
  • 使用可能温度範囲が広い

このようなすぐれた特性をもつ有機ELフルカラーディスプレイは、カーナビゲーションや携帯機器などの各種機器のディスプレイからPDA、サブノートパソコンなどに至るまで広範囲かつ高い適合性を持っていますので、今後さらに寿命と発光効率の改善をはかり、事業展開をすすめてまいります。

【 試作品のおもな仕様 】

画面サイズ 5.2インチ
表示ドット数 320*RGB*240dot
ドットピッチ 0.33mm
駆動方式 単純マトリックス
駆動デューティ 1/120
発光色 26万色(各色64階調)
輝度 150cd/m2
コントラスト 100:1以上(フィルタ使用時)
消費電力 6W(全点灯時)
1.8W(30%点灯時)(注4)
寿命(注5) 2000時間程度

有機ELフルカラーディスプレイの断面構造

原理図                  構造図

原理図/構造図

注1 有機EL
ある種の物質に電圧をかけると発光する性質を利用した発光素子。発光物質に炭素などの有機物を含むものが有機EL。
注2 自発光型
素子自体が発光するもので暗所での視認性が高い。CRTやVFD(蛍光表示管)などのデバイスはこれに属する。
なおLCDは自発光ではないのでバックライトなどの照射装置が必要となる。
注3 面発光型
発光する部分が面状のもので表示の品位が高い。オーディオ機器などに多く使われているVFDはこの類。
なお発光部分が点状のものを点発光と呼びLED(発光ダイオード)などがある。
注4 30%点灯時
テレビなどの一般的な映像信号の平均的な明るさが30%点灯に相当する。
注5 寿命
輝度が初期値の半分になるまでの時間をいう。

他の報道資料を探す

キーワードで探す

年月で探す