ユーザーエクスペリエンスデザイナー

お客様に届けたい"体験"の本質を明らかにする 太田智子

お客様に届けたい"体験"の
本質を明らかにする

太田智子

デザインした製品

「次世代コンセプトモック」
「In-Vehicle Context Awareness」という新しいコンセプトをお客様に体験していただくことを目的とした展示用のデモ・システムを開発。このコンセプトは、運転中に変化し続ける状況をふまえてドライバーが必要とする情報を先読みし、最適なタイミングと手段で提供することを目指している。お客様にどのような体験や価値を届けたいかを具体的に描き関係者と共有するところからスタートして、ヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)の全体像をデザイン。さらに、完成したシステムをユーザー視点で評価するところまでをチームの一員として担当した。

UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインについて

体験をデザインする

UXデザインは、ユーザーが製品やシステムに関わる際に得られる経験全体を対象とします。そのため、「次世代コンセプトモック」のプロジェクトでは、いまユーザーはどのようなカーライフを送っていて、どのような楽しみや不満を持っているのかを分析するところから作業を始めました。その次に、将来提供したい新しい体験・価値や気持ちについてアイディアを広げ、”カーライフ”という体験がどう変わるのかを具体的に描いていきました。たとえば、学生時代の友人たちと久しぶりにドライブに出かけるとしたら、どんなルートを走りながら会話や景色を楽しみたいのか、その途中でシステムが気を利かせて、どんなタイミングでどんな音楽がかかったらうれしいのか、どんな提案をしたらドライブがより快適になるのか…企画や開発の担当者とディスカッションを重ねながら、様々なドライブシーンを細かく描いていきました。これは、実現したい体験や価値の本質を明確にし、作ろうとしているシステムのコンセプトを固めていく、非常に重要なステップにあたります。その後、これらを具現化するには製品やシステムがどう振る舞うべきかを考えていく「モノづくり」のプロセスへとつなぎ、「次世代コンセプトモック」が生まれました。
このように、UXデザインの作業は、現状の体験や経験に、新しい価値や提案を重ねたり織り込んだりすることで、新しい体験をつくり上げていくようなイメージで進めていきます。その作業の際には、ユーザーの視点と作り手の視点を常に意識して使い分ける必要があります。そこがUXデザインの難しさであると同時に、おもしろさでもあると感じています。

ユーザー=お客様をどれだけ深く理解できるか

カー・ビジネスの業務と並行して、新たに取り組み始めた医療機器のUXデザインも担当しています。一番の大きな違いは、自分がユーザーになり得ない製品とその体験をデザインしなければならないところです。偶然にも、学生時代に医療機関でアルバイトをしていたことがあり、患者ではない視点から医療の世界に少しだけかかわった経験はありましたが、UXデザインに必要な情報・知識は膨大です。実際の医療現場にうかがう時には、自分に備わっている全身のセンサーをフルに使って、お話をうかがい、現場を観察し、限られた時間でできる限りの気づきを集めてきます。このようにして、ユーザーとなる医療従事者の方々や医療現場の環境のことをどれだけ深く理解した上で新しい製品やサービスを提案できるかが、ミスや事故を防ぐ上でも非常に重要なポイントとなります。
そのために、日々の生活ではもちろん、旅先でも、人の行動や気持ちを観察・推測し、共感するスキルを常に磨き、自分がリアルに想像できるユーザー像とその体験のバリエーションを広げる努力をしています。その際には、学生時代に専攻した心理学というバックグラウンドが大いに役に立っていると思います。

Profile



文学研究科心理学専攻

インタラクションデザイン、ユーザーエクスペリエンスデザイン
を担当。
「医療機器GUI」、「車載OLED」、「次世代統合コンセプトモック」の新価値創造とHMIの開発などに携わっている。

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