研究開発

VOL.17 NO.1 特集:カーナビゲーション

1.眠気予測技術の開発

柳平雅俊、安士光男

【要旨】
眠気を早期に予測する技術は、居眠り運転を防止する上で有効である。眠気の兆候は、心拍数の低下傾向の中に見ることができる。心拍数は、周囲温度、姿勢、精神状態などによって変化するが、運転中は眠気などの精神状態に影響される。この特性を応用して眠気予測センサを開発した。 眠気予測センサはハンドル把持部の左右に電極を装着し、電極から心拍を検出し、検出した心拍信号から、心拍数の算出、補間・FIRフィルタ処理、および眠気予測処理をした。 試作機を用いてユーザ評価を実施したところ、評価者全員が、運転中の心拍に関心を示し、8割の評価者が本機の性能に対して信頼していることが分かった。

2.楽曲レコメンドシステム

小田川智、児玉泰輝、莪山真一、松下文雄、鈴木康悟

【要旨】
楽曲録音装置に記録されている大量の楽曲から、楽曲の印象を示す検索語を用いてユーザの好みの曲を再生する楽曲レコメンドシステムを開発した。
音楽的な特徴量を「楽曲特徴量」、検索語を規定する特徴量を「検索特徴量」と定義した。検索語には、運転中に使用されると考えられる「明るい」、「ノリがいい」、「静かな」、「かなしい」、「癒される」を採用し、各検索語に固有の検索特徴量を設定するとともに、楽曲の録音時に楽音信号を分析し、楽曲特徴量を求めた。これらの情報を用いて検索語と音楽の合致度を求め、レコメンドを行った。さらに、本システムにユーザの嗜好を学習する機能を付加することで、ユーザの好みの楽曲をレコメンドする精度の向上を実現した。
また、システムの応用として、外部の状況(時間帯、天気、順調や渋滞などの走行状態)に応じて、その状況に最適な楽曲をレコメンドする機能を開発した。
前者を「フィーリングプレイ」、応用システムを「フィーリングオートモード」として当社のカーナビシステムに搭載し、市場で好評を得ている。

3.カーナビ音声操作の発話タイミングミス軽減

外山聡一,川添佳洋,小林載,藤田育雄,金子忠靖,大杉淳,塩田岳彦

【要旨】
カーナビ音声操作機能の機能向上を目的にユーザビリティテストを実施し、認識阻害要因の調査を行った。その結果、発話タイミングの取りづらさが一つの大きな要因であると判明し、対策を検討した。カーナビ音声操作のプロトタイピングツールを作成し、対策方法考案/プロトタイプ作成/少人数被験者へのテストを繰り返して、対策手法の検討・絞り込みを行った。その結果、画面の改良およびユーザ主導での発話タイミング切り替えを効果のある対策手法として選択した。この対策手法のプロトタイプに対して、一般被験者へのユーザビリティテストを行い、発話タイミングミス軽減効果があることを確認した。

4.車載ロボットの試作

伊藤宏平、藤田隆二郎、市原直彦、 柴崎裕昭、佐藤伸之、安達友洋

【要旨】
新しいコンセプトを持つ車載機器を検討し、ドライブを共感するパートナー車載ロボットを提案した。「ドライバーと心がつながる」、「運転を優しく見守る(優しい運転)」、「ドライブを一緒に楽しむ」という三つのキーワードを柱として試作を行った。試作品を社外展示会に出展し、来場者アンケートを行った結果、車載ロボットのコンセプトが多くの来場者に理解されたことを確認した。

5.デジタルリバイズエンジンの開発

浅川太郎、林幸雄、原田清次、勝屋宏一、
阿部義徳、高橋哲也、高橋宏ニ、水戸研司、
田中淑貴、渡邊一弘、伊東毅

【要旨】
地上デジタル放送は、アナログテレビ放送と比較して移動受信の安定性に優れている。しかし、ビルの谷間などを走行している時や高速移動している時、あるいは弱電界エリアでの受信など、受信条件によっては映像の乱れや音切れなどが発生する。
この問題を解決するために、エラーコンシールメント技術"デジタルリバイズエンジン"を開発した。この技術を車載用地上デジタルTVチューナーに搭載することで、受信エラーによる映像の乱れや音切れを低減し、走行中においても良好な視聴環境を提供することができた。

6.車載向け地上デジタル受信機の開発

内山和彦

【要旨】
ハイビジョン放送とワンセグ放送の両方式を受信可能な車載用デジタルテレビ放送受信機を開発した。移動体でも良好な受信を可能にするため、2チューナキャリア合成ダイバシティおよび画像・音声のエラー補正技術を可能にしたメディアプロセッサを搭載した。

7.2006HDDカーナビゲーション製品の開発

野中慶也、熊谷俊一、村田一夫、小田亮
村田利幸、津久井智尚、垂井伸夫、新居紀孝
山本健太郎、松尾剛、前川泰利、杉野竜二
青山将士、関根能男、篠永伸夫、岩路博文
加藤寛樹、橋沼孝司

【要旨】
本稿では、2006HDDカーナビゲーション「AVIC-VH009」、「AVIC-VH009MD」、「AVIC-XH009」、「AVIC-ZH009」および「AVIC-H009」に搭載されたWVGA対応モニター、スマートループ構想、音楽配信機能についてその概要を解説する。これらのカーナビはWVGAモニターによる高精細な描画を実現し、蓄積型プローブによる情報共有、またパソコンで購入した楽曲の転送やエニーミュージックからの楽曲購入といった音楽配信にも対応した。

8.カーナビゲーションをとりまくITS技術

長岐孝一

【要旨】
カーナビゲーションの歴史、カーナビゲーションのハードウェア、ソフトウェア技術について解説するとともに、カーナビゲーションにおけるカメラ応用、車両制御の取り組みなど、カーナビゲーションに応用されているITS関連技術にについて述べる。

9.車載用有機ELディスプレイの現状と展望

仲田 仁

【要旨】
有機ELディスプレイは、コントラストが高い、応答速度が速い、低温での動作安定性が高いといった特徴を有しており、車載用途に適したディスプレイである。現在、有機ELディスプレイは車載用途としてカーオーディオや一部の計器に応用されているが、薄さや形状のフレキシビリティといったデザイン性の点からフィルムタイプのディスプレイへの期待が高まっている。

【部門紹介】
モーバイルシステム開発センターの紹介

安藤斉、垣内志津夫、塩田岳彦、上條博之、齋藤トモエ

【要旨】
モーバイルシステム開発センターは、車載システム開発部、デジタル受信機開発部、サウンド技術開発の3部からなり、ナビゲーションプラットフォームの開発、車載カメラ応用技術、音楽エージェント技術、音声認識技術、デジタル放送向け受信機など、カーエレクトロニクス関連の要素技術、システム開発を行っている。また、将来に向けてITS関連、ネットワークへの対応、安全へ向けての取り組みなどにも対応している。

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