研究開発

2000年 VOL.10 NO.3 特集:記録技術

1.ピットエッジ多値記録を用いた高密度光ディスクシステムの信号処理技術

後藤利夫、林英樹

【要旨】
再生専用型光ディスクの高密度化のために、SCIPER(Single Carrier Independent Pit Edge Recording)と呼ばれるピットエッジ多値記録方式と、RPR(Radial direction Partial Response)を組み合わせたSCIPER/RPR方式が提案されている。この光ディスクシステムの記録技術としてピット交番配置、畳み込み符号、記録補償を開発し、再生技術として適応イコライザ、キャリアキャンセラ、ビタビ復号を開発した。このシステムのデータ再生性能を計算機シミュレーションにより評価した結果、1×10-3のビットエラーレートでノイズマージンが5.4 dB改善され、タンジェンシャルチルト、タイミングオフセット、ピット位置ずれに対するマージンが拡大することがわかった。

2.電子ビーム記録装置を用いた高密度マスタリング

勝村昌広、北原弘昭、 小笠原昌和、小島良明、和田泰光、飯田哲哉、横川文彦

【要旨】
次世代DVDシステムの開発において、必要な高密度ディスクを作製することを目的とし、電子ビーム原盤記録装置を開発し以下の項目を確認した。

  1. 20 Gbytes、25 Gbytesの記録容量ディスクを作製し、対物レンズNA=0.75の再生システムで、DVDスタンダードイコライザを用いてスタンパ再生を行い、20Gbytesディスクではジッタ7.7%、25 Gbytesディスクではジッタ14.5%が得られた。
  2. 電子ビームの収束半角6 mradの条件により80 nm L&Sと50 Gbytes記録容量の記録を行った.

電子ビームを用いたマスタリングは、高密度光ディスクにおいて有力なマスタリング技術である。

3.薄型基板における複屈折制御の検討

今井哲也、志田宜義、 菅圭二、飯田哲哉

【要旨】
高密度薄型基板の射出成形において、ディスク性能に影響を与える複屈折値の制御と低減が求められている。そこで、筆者らは成形技術の立場から複屈折の発生原因のひとつである熱応力に着目し、 金型キャビティ表面の温度分布を変化させることによる複屈折の制御および複屈折値を最小とするための金型キャビティ表面温度分布を射出成形用CAE解析ソフトを用いて検証を行ったので報告する。

4.薄型基板厚みばらつきの低減

菅圭二、今井哲也、志田宜義、飯田哲哉

【要旨】
次世代DVD基板成形技術においては、球面収差の原因となる基板厚みばらつきの低減が求められることになる。局部的厚み変化を起こす基板では、鏡面板の冷却溝形状(渦巻き形状)の屈曲部と基板薄肉部が一致する。また、通常の射出成形では金型は鏡面板を含めて射出圧力により径方向におわん形状の変形を生じている。そこで鏡面板の変形について簡易モデルを用いて解析を行ったところ、屈曲部の変形が小さくなっていることが判明した。そしてその結果より屈曲部のない鏡面板を作製して成形を行ったところ局部的に18 μm薄かった部分が4 μmの厚み差に低減した。この実験から、鏡面板冷却溝屈曲部形状が基板厚みばらつきに大きく影響を及ぼすことが分かった。

5.光ディスクにおける反り発生メカニズムの解明

志田宜義、菅圭二、今井哲也、飯田哲哉

【要旨】
次世代光ディスクにとって反り制御は必要不可欠な技術である。その原因は明確に究明されていなかったが、今回筆者らはこの原因を究明した。また、本実験を行うにあたり新たな反り解析法を考案した。
この結果、固定側と可動側のキャビティー表面温度差はディスク面内の反りに影響を与え、スプルーとカッターの温度差やメカニカルエジェクターの突出しはディスクの中心部の反りに影響を与えていることが判明した。また、スタンパーにより発生する反りはスタンパーと鏡面との熱抵抗によることがわかった。

6.DVD-RW version 1.0 の要素技術

加藤正浩、山口淳、村松英治、谷口昭史

【要旨】
DVD-RWの開発と規格化の推進には、良好な記録再生特性を得るための技術開発が必要不可欠であった。記録パルスストラテジ、ディスクの最適基板形状、およびプリフォーマット信号再生技術など、重要な開発項目がいくつか存在した。それらのDVD-RW開発における要素技術について、シミュレーション計算と実験結果を用いた報告を行う。

7.DVD-Rディスクの開発

村上重則、近藤淳、草間樹、滝下俊彦

【要旨】
色素媒体の最適化、成形基板特性の面内均一化、LPP形状の最適化などを行うことにより、650 nm記録波長に対応した4.7 GBDVD-Rディスクの開発を行った。本開発ディスクをDVD-R for General規格準拠のベーシックライトストラテジにて記録した結果は、変調度65.8%、Jitter6.26%、反射率53.3%、PIER(AVE)5カウントであり、記録後のディスクはDVDプレーヤに互換性のあることを確認した。またDVD-Rの高速記録に対し、シアニン系色素での可能性を見出した。

8.DVD-RWディスクの開発(リーダブル・エンボスへの対応)

松川真、大島清朗、田切孝夫、滝下俊彦

【要旨】
現行DVD-RWの規格ver.1.0では既存のDVDプレーヤーとの互換性やコピーマネジメントに未対応である。これらに対応する手法として筆者らはリーダブル・エンボスを検討した。リーダブル・エンボスを実現するためには、エンボス部とグルーブ部の深さを変える必要があり、今回筆者らはレジストの中間現像によるV溝基板でグルーブ部、エンボス部の最適化検討を行った。また、V溝に合わせた媒体構造の変更も併せて検討した。

9.車載用録再MDメカモジュール

山野井勝明

【要旨】
車載用録再MDメカモジュール(MDR1)を開発した。
パイオニアとして車載用の録音機は初めてであり、クリアすべき課題も多かったが、シャープ(株)の協力により製品仕様を十分満足するメカモジュールが完成した。

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