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2004/11/11 UP
第9回 EMMA

日本屈指のハウスDJとして高い人気を誇るEMMA。エモーショナルな選曲と流麗なミックスで独自の世界観を築き上げてきた彼が次に目指したのは、光と映像を取り込んだ全く新しい表現。渋谷WOMBで隔月開催されているパーティ“TROUBLE HOUSE”がその主戦場だ。ライティングと映像のパートナーを得て、これまでさまざまな実験が繰り返されてきた同パーティに、ついにDVJ-X1が導入されるという情報をキャッチ。その活用法を探るべく早速、取材を試みた。

既存のVJにはないものがやりたかった
EMMA
TROUBLE HOUSEのコンセプトは?
音楽を中心に、映像や光といった五感に訴える要素をプラスしてトータルにパーティを作っていこうというものです。照明を担当するWOMBのAIBA君と映像を担当するUNUの中市(好昭)君とボクの3人でアイディアを出し合ってやってきました。ちょうど1年前にスタートして隔月で開催、今回が6回目です。
 
今回初めてEMMAさんがDVJ-X1をオペレートされるということですが?
ええ。製品自体が出たことは結構前から知っていて、これを使って何かやろうということを目指して準備をしてきました。まず、ボクら3人の共通した意見として既存のVJはつまらないねというところからスタートしている。VJの入っているイベントを見ると何だか“投げっぱなし”のように見えるんですよ。リズムに合わせてドラッギーな映像がひたすら流れて、という。自分たちだけが楽しんでしまっているような印象なんですよね。楽しむことは重要だと思いますが、それだけではだめだと思うんです。そうではない方向性でクオリティも高く、効果的なものが作りたかった。
 
映像表現自体は以前から興味をお持ちだったんですか?
はい。プロモーション・ビデオの制作なんかもすごく好きで。海外の作品を見ていると「このアイディアはそのまま映画でも使えるんじゃないか?」というほどクオリティの高いものがあって興味を引かれます。
今回はどのような映像を作られたのですか?
曲に映像を付けたものを3つと、SEが入ったものを用意しました。
曲に映像を付けたものというのは、楽曲もオリジナルですか?
いえ、既存の曲です。例えばその中の1つは、曲の展開に合わせてクレイ・アニメーションのような、ちょっとぎこちない感じで変化していく映像だったり。ボクらも試行錯誤の段階ですが、これまでのVJでは見られなかったようなものを作ってみました。ただ課題もあります。映像を制作している期間が長くなってしまうと曲自体が古くなってしまうということ。ダンス・ミュージックは“旬”という要素が大きいですからね。もしかすると、このやり方は、オリジナルの楽曲で使うのがいいかもしれません。
EMMA
 
SEを収録したものというのは?
波の音に合わせてそういうイメージの映像が出てきたり、ナレーションに合わせてそのフレーズが文字で現れたりするようなものです。メッセージとしても分かりやすいし、どんな曲にも混ざりますよね。
それを通常の選曲に乗せていくような感じで使うわけですか?
そうですね。まず音楽があって、そこに効果的に乗ってくるような映像。照明とのマッチングも考えられたもので。それらが全部きれいにシンクロすると感動的なものが作り出せると思うんですよ。
聴き手と感覚を共有することが大事
演出の面で新しい試みに挑戦されているわけですが、選曲自体の方向性に変化は?
方向性はずっと変わらずにきていると思います。もちろん時代によって少しずつ変わってきているところもあるでしょうけど。
守っていきたい自分のスタイルがある?
別に歌ものをかけなきゃいけないという使命感があるわけじゃないんですけど(笑)、人間の声や生楽器の持つパワーは機械では出せないものだと思うので、そこを伝えていきたいと考えています。
伝えたいものに向かって選曲を組み立てていかれるわけですか?
そうすることもたまにありますけど、ほとんどはそうじゃないですね。あまり意識せず、気がついたらその曲を選んでいたという方がフロアの人たちとも感覚を共有できる気がする。“キャッチボール”を続けながら選曲していくことが大事なんですよね。
EMMA
 
反応の見えない、ミックスCDの制作などはどういう感覚で? 
妄想の世界(笑)。買った人たちの盛り上がりを想定してやってます。
EMMA
そうして作られたミックスCDのシリーズ『EMMA HOUSE』も10作を数えます。
昔、自分でミックス・テープを作って配ったり売ったりしていて、そのテープもシリーズで30番くらいまであるんですけど、いまだに「18番のアレがいいんだ」って言ってくれる人がいる。そういうものを作りたいと思ってやってます。それがきっかけになってその曲を探したりすることがシーンを活性化させると思うし、音楽的だと思うから。
 
それも、先ほどおっしゃった“お客さんとのキャッチボール”ということに通じるものがありますね。その感覚はオリジナル楽曲の制作にも生かされているのですか? 
曲によって、ハイライトを飾るような感じならドラマチックに、前半のタメの部分で使う曲ならそういう時間帯を想定した感じにしますね。
オリジナル曲を、リリース前にプレイすることは? 
あります。出音をチェックしたりする場合、CD-Rに焼いたものを持って行きますね。今はほとんどのお店にCDJが置いてあるので。CDJ-1000は、一番最初にリリースされたときにある雑誌の企画でチェックさせてもらいました。その後CDJ-800が出たときにデジタル・アウトが付いて、それをCDJ-1000にも付けてほしいというリクエストをしたらCDJ-1000MK2になったときに付いたりとか、現場サイドと制作サイドが1つになってやっているという印象がありますね。
最後に、今後の展開について教えていただけますか?
TROUBLE HOUSEに関しては、今回のDVJを使ったプレイの反応を見てさらに発展させていきたいですね。ボク自身もまだ経験したことのないことですが、音楽と照明と、そこに映像が加わった世界で感動させたい。映像を見て泣いたり笑ったりなんてことは映画くらいしかないけど、それがクラブで成立したら最高だと思います。
EMMA
 
EMMA in TROUBLE HOUSE

EMMA(エンマ)
80年代後半から活動を開始し、芝浦GOLDでレジデントを努めるなど日本のハウス・シーンをリードしてきた人気DJ。ミックスCDシリーズ『EMMA HOUSE』や、マラウィロックス・プロダクションとしてのオリジナル楽曲制作でも手腕を発揮している。
http://www.nitelistmusic.com/
 
DISC
NITELIST MUSIC presents EMMA HOUSE 10 CTCR-13186-7 NOW ON SALE
編集後記
ボンデッジパンツのパンキッシュな出で立ちで現れたEMMAさん。「服装も高校のころから変わらないんだけど」と照れていたが、そこにも一本筋の通ったスタイルを持つ生き様が垣間見えた。映像という新しい表現を得て、その生き方がどのようにデコレートされていくのか、非常に楽しみだ。
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