carrozzeria QUALITY  カロッツェリアクオリティ
第3回 “あらゆるクルマで”、“誰でも”、“手軽に”、“的確に”。 すべては、「良い音をユーザー届けたい」という想いから
挑み続けることで、生まれるものがある
エンジニアのこだわりが息づく「AVH-P900DVA」
すべては、「良い音をユーザーに届けたい」という想いから
「良い音をユーザーに届けたい。」という想いから始まった「carrozzeriaX」の開発。車室内という環境に着目したとき、生まれたのは「良い音」と「車室内環境の克服」の両立というカロッツェリア独自の考え方でした。それは、クルマという空間自体をリビングと同じように音楽を心ゆくまで味わえる空間へと変えること。「carrozzeriaX」開発以降、この考え方は永きに渡りカロッツェリアの中に息づいています。
しかし、「carrozzeriaX」はプロショップでの時間をかけた取付け・チューニングを必要とし、手軽なモノとは言えませんでした。
「この音の世界を、より多くの人に味わってもらいたい。」
そこで生まれたのが、“あらゆるクルマで”、“誰でも”、“手軽に”、“的確に”音楽再生に最適な空間を創り出す「AISS(オート・インテグラル サウンド システム)」思想です。
「AISS」思想は、ほどなくして具現化されます。「オートタイムアライメント&オートイコライザー」と名づけられたその機能は、クルマのスピーカーシステムや音響特性を測定し、タイムアライメントやイコライザー、ネットワークの設定といった高度な音響チューニングを自動で実行。ボタン一つで、あらゆるクルマやシステムを音楽再生に最適な空間へと変貌させるのです。では、この革新的なテクノロジーは、どのようにして生まれたのでしょうか?
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挑み続けることで、生まれるものがある
ボタンひとつで、クルマに合わせたオートチューニングを行う。このテクノロジーの原型となったのは1993年に「carrozzeriaX」のチューニングサポートシステムとして登場した「AX-1」でした。エンジニアはその技術とノウハウを活かしながら、メインユニットにその能力を搭載することに挑みました。ハードウェアの設計と調整アルゴリズムの検討、そしてプログラミングを同時並行で進めながら、ついに小さなDSPチップにその能力を集約。オートイコライジングDSPプロセッサー「DEQ-99」を経て1997年に登場した「FH-P900MD」で、「オートイコライザー」のメインユニット搭載に初めて成功し、 「AISS」思想実現への記念すべき一歩を刻みました。
そして4年後の2001年「FH-P777MDR」「DEH-P999」で「オートイコライザー」に加え「タイムアライメント」の搭載を実現。これにより、それまでの“音質”に“音場”という新たな概念が加わり、「車室内環境の克服」が可能となりました。しかし、音場と音質は切っても切れない関係。一方をいじれば必ずもう一方に影響が生じます。また「タイムアライメント」は、スピーカーとリスナーの距離によってマニュアル調整を行うものでしたが、それだけでは限界があります。これらの課題を乗り越えるためにエンジニアはさらなる開発を続けました。
そして2年後の2003年、ついに「オートタイムアライメント&オートイコライザー」を搭載した「FH-P009MD」が誕生。それは“あらゆるクルマで”、“誰でも”、“手軽に”、“的確に”という「AISS」思想が真に結実した瞬間でした。
さらに同年発売した「AVH-P9DVA」では、「オートイコライザー」のマルチチャンネル化を実現。映画やコンサートといったDVDソースのもつ迫力や臨場感をクルマでありのままに満喫することが可能となりました。
その後も3ウェイマルチスピーカーシステムのネットワーク設定や、6.1chと2chの同時調整実現など、 「オートタイムアライメント&オートイコライザー」は歩みを止めることなく、常に革新的な進化を続けています。
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エンジニアのこだわりが息づく「AVH-P900DVA」
カロッツェリアのオーディオがつくられる川越事業所。「オートタイムアライメント&オートイコライザー(6.1ch/2ch)」を搭載したカーAVシステムの最高峰モデル「AVH-P900DVA」もここから生まれました。
「AVH-P900DVA」の開発にあたって、特にこだわったのは6.1chにおけるサラウンドバックの音でした。音決めに使ったのは「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」のワンシーン。壁が爆発して破片が降ってくるシーンで、何度も後方の広がり感や密度をチェックしました。
試聴室でのテストが終わると次にクルマでの実装着テストが行われます。初めはリファレンス用の車両、その後ワゴンやセダンなど大きさを変えてテストを行うことで、あらゆるクルマに対応する測定・調整アルゴリズムへと改良を続けていきました。エンジニアはそのときの様子を、こう語ります。
「試聴室でクルマでと、何回も繰り返しDVDを試聴しますね。何分何秒にどんなセリフが出るのか覚えてしまうくらい。初めは聴こえなかった音とかも聴こえてきたりすると、クルマでもこのDVDが本来持つ音をきれいに出してあげたいという気持ちになります。そして調整を重ねていくうちに、本当にきれいに聴こえてくるのです。」
また、エンジニアの挑戦は音の追求だけにとどまりません。
「マルチチャンネルと2chの自動調整には、かなり時間がかかってしまいます。そんな中、ユーザーは調整中、クルマの外で待つ必要があります。待てる時間はせいぜいタバコ1本吸うくらい。そう考えると、10分には納めたいと考えました。」
そこで、調整アルゴリズムをゼロから再構築。重複する工程を共通化し、測定データを共有することで最終的に調整時間を約9分にまで短縮することに成功。そこには、この機能をより多くの人に活用してもらいたいという想いがありました。
「『AVH-P900DVA』を購入された方には、『オートタイムアライメント&オートイコライザー』で自動調整されたものと、自分でマニュアル調整した音を是非聴き比べて欲しいですね。きっとこの機能の素晴らしさを実感していただけると思います。」
最後にエンジニアが語った言葉。そこにはカロッツェリアの音に対する自信が表れています。 音の真髄を求めて―確固たる理念がその道を照らし続ける限り、カロッツェリアの進化に終わりはありません。
第4回へ続く


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